
感覚(音・光・触覚・温度)と強度行動障害|止まる・飛びつく・荒れる本当の理由
強度行動障害のある子どもを見ていると、
「急に動きが止まる」「急に飛びつく」「急に叩く」「急に頭を打つ」
という場面に何度も出会います。
しかし本当に“急”なのでしょうか。
多くの場合、それは感覚刺激に対する身体の反応です。
叱責ではなく、まず神経系の負荷を疑う視点が必要です。
音の刺激 ― 現場で本当に起きていること
工事の音、バイクの音、バスの「プシュー」という空気音、
地下鉄車内の響き、咳、くしゃみ、鼻をすする音、赤ちゃんの泣き声。
これらで突然フリーズする子は少なくありません。
- 動きが止まる
- 表情が固まる
- 飛びつく
- 他害が出る
- 自傷が出る
耳から入る刺激は直接自律神経を揺らします。
理解の前に身体が反応するのです。
音への具体的対応
- 事前に「今日は工事音あるよ」と予告する
- イヤーマフを嫌がらない子には短時間使用
- 地下鉄は比較的静かな車両端を選ぶ
- 大きな音の前に軽い身体接触で安心を作る
- 音源から距離を取る
叱るより、環境を下げる。
それが最優先です。
光の刺激
商業施設に入った瞬間、目を覆う子もいれば、
逆にスヌーズレンの光を食い入るように見る子もいます。
光も神経を揺らします。
光への対応
- 蛍光灯直下を避ける
- 壁側の席に配置する
- つば付き帽子を許容する
- 強い空間に入る前に一呼吸置く
触覚と深部圧
頭をマッサージしてほしい。
脚を押してほしい。
足裏をさすってほしい。
これは単なる甘えではありません。
神経の自己調整です。
また、自傷のある子が支援者の手を取り
自分の頭を叩いてほしいと示すこともあります。
力加減が難しい。
だから強い刺激を求める。
触覚への具体的対応
- 軽く撫でるより面で安定圧
- 両肩を包む静止圧
- 背中をゆっくり押す
- 足裏を強すぎない圧で押す
ただし嫌がる子には絶対に行わない。
万能ではありません。
温度と脱衣
暑さが苦手な子は多い。
汗を嫌がる子も多い。
室内に入ると服を脱ぎたがる子もいます。
- 汗をかいた時
- 暑い時
- 排泄の違和感がある時
- 退屈な時
家では裸で落ち着いている子もいます。
それ自体は異常ではありません。
止めるより原因を抜く。
それが先です。
具体策
- 速乾素材に変更
- タグを取る
- サイズを緩める
- 室温を下げる
- 「家ではOK、外では着る」と文脈を分ける
クレーン行動との関係
刺激が強すぎる時、
自分では言語化できないため
支援者の手を引く行動が出ます。
これは要求であり、調整手段です。
詳しくは下記で解説しています。
では具体的にどうすればいいか
① まず刺激を疑う
荒れたら叱らない。
評価しない。
まず環境を見る。
- 音は増えていないか
- 光は強くないか
- 温度は高すぎないか
- 服は不快ではないか
- 人が密集していないか
② 環境を下げる
静かな場所へ移動。
照明を下げる。
人との距離を取る。
③ 身体調整を入れる
深部圧、呼吸、軽いストレッチ。
神経を戻す作業です。
④ ログを残す
気温、音環境、光、服装、睡眠。
記録しなければ偶然になります。
強度行動は偶然ではありません。
関連する身体サインの読み解き
感覚は単独ではなく、他害・自傷・空腹・排泄と繋がっています。
構造で理解してください。
