ちゃんとやろうとしたのに、噛み合わなかった瞬間の話です。

声をかけるタイミング、動く順番、場の流れ。
親が選んだ「今」と、子どもが過ごしている「今」が
ずれてしまったときに起きることを書いています。

disability

、、、なんで今それ?

(落ち着かせようとしたはずなのに、状況が一気に崩れていく場面)


この章に出てくるのは、
トラブルでも、失敗でもありません。

もっと厄介な、
「タイミングのズレ」
の話です。

ちゃんとやろうとしている。
落ち着いて関わろうとしている。
前より、むしろ丁寧にやっている。

それなのに、
なぜか全部が逆に動き出す。

親の頭に浮かぶ言葉は、だいたいこれです。

、、、なんで今それ?

1. 親は「今ならいける」と思って動く

親が動く理由は、いつも同じです。

  • 今なら通るかもしれない
  • 今やっておいた方があとが楽
  • このまま流れを作りたい

だから声をかける。
だから先を読む。
だから「今」を選ぶ。

「前はこれでいけた」
「今なら受け取れる気がする」
「このタイミングを逃したくない」

すべて、善意です。
生活を回そうとする、まっとうな判断です。

2. でも、子どもの「今」は違っている

問題は、
親が選んだ「今」と、
子どもが過ごしている「今」が、
ずれていることです。

親は「次」に向かっている。
子どもは「今」にとどまっている。

その差が小さいうちは、
何とか持ちこたえます。

でも、ずれが重なると、
子どもは「急かされた」「割り込まれた」と感じます。

3. 伝わっているのは、言葉より「割り込み感」

このとき、子どもに届いているのは、
言葉の意味ではありません。

  • 急に空気が動いた感じ
  • 自分の流れを止められた感覚
  • 静かだった空間が壊れた感じ

つまり、
「今の自分は、邪魔された」
という状態です。

親に悪気はありません。
でも、割り込みは割り込みとして伝わります。

4. 親は焦り、タイミングをさらに詰めてしまう

子どもの反応が悪いと、
親は不安になります。

通じていない?
伝わっていない?
じゃあ、もう一回。

声を足す。
動きを足す。
説明を足す。

すると、
子どもにとっては「割り込み」が連続する。


落ち着かせたいはずなのに、
「今それ?」が何度も重なる。

5. このズレは、努力不足ではない

ここで親は、自分を責め始めます。

タイミングを間違えた?
読みが浅かった?
私が下手なの?

でも、このズレは、
親の感度が低いからでも、
子どもがわがままだからでもありません。


生活を回そうとする親と、
今を生きている子どもの、
視点の違いがぶつかっただけです。

6. 必要なのは「読む力」より「待つ余白」

正確に読むことより、
完璧に合わせることより、
ここでは余白が助けになります。

  • 今は割り込まない
  • 通らない日は通らないと決める
  • 次の機会に持ち越す
  • 危険だけは、黙って止める

「今じゃなかった」を認めることは、
失敗ではありません。

状況を増やさないための判断です。

7. この章で伝えたかったこと

、、、なんで今それ?

その言葉が出たとき、
親が間違っていたわけではありません。


良かれと思って選んだ「今」が、
たまたま重ならなかっただけです。

次の章では、
親の口から出そうになって、
ぐっと飲み込んでしまう言葉――
「、、、ちゃんとやってよ」
を扱います。