
強度行動障害支援者養成研修を受けても、
現場が苦しくなる理由
強度行動障害支援者養成研修は、
行動障害の理解や支援技術を学ぶための重要な研修です。
しかし修了後、
「現場が楽になるどころか、苦しくなった」
と感じる支援者は少なくありません。
それは、
個人の力量や努力の問題ではありません。
構造の問題です。
研修で教えられるのは「正しい支援の形」
強度行動障害支援者養成研修では、
次のようなことを学びます。
- 行動の背景要因の理解
- 環境調整の考え方
- 支援手順書の作成
- チーム支援の重要性
- 虐待防止と危機管理
どれも正しい。
どれも必要。
ただし、
「分かったあと、現場で何が起きるか」
は、ほとんど語られません。
現場で増えるのは「支援」ではなく「判断」
研修修了後、
支援者はこう問われ続けます。
- 今の行動は環境要因か特性か
- 声をかけるか、待つか
- 支援手順書通りか、例外か
- 安全配慮か、過剰介入か
一つの行動に、複数の判断。
しかもそれは、
マニュアルで答えが出る判断ではありません。
判断の責任は、ほぼ個人に集中する
建前ではチーム支援。
現実では個別対応。
その場にいるのは自分一人。
管理者は別業務。
会議は後日。
結果、
判断の責任だけが現場職員に残る。
これは偶然ではありません。
そもそも強度行動障害は、
行動そのものではなく、
「判断を一人で背負わされる状態」
として現場に現れます。
→
強度行動障害は「行動」の問題ではない|親・現場・制度から見えた真因
研修修了者ほど、負荷が集まる
研修を受けた人は、
現場では「できる人」になります。
- 困ったらあの人
- 判断が必要ならあの人
- 危ない場面はあの人
評価されるのは、
事故が起きなかった結果だけ。
判断の重さや迷いは、
可視化されません。
支援は減らない。重くなる
研修の目的は、支援の質向上。
しかし現場で増えるのは、
- 思考
- 緊張
- 迷い
- 自責
「間違えてはいけない支援」
が、支援者を追い詰めます。
研修は必要。でも、足りない
誤解してはいけません。
強度行動障害支援者養成研修は必要です。
学ぶ価値があります。
ただし、
- 判断をどう分担するか
- 迷ったときの戻り先
- 判断そのものを支える仕組み
ここがなければ、
現場は守られません。
現場が本当に必要としているもの
新しい研修ではありません。
- 判断を一人に集中させない設計
- 正解探しではなく選択肢の共有
- 判断の過程を言葉にできる文化
これは、
理念ではなく運用の問題です。
研修を受けて、しんどくなったあなたへ
それは失敗ではありません。
向いていない証拠でもありません。
ちゃんと考えている証拠です。
ただし、
一人で背負い続ける必要はありません。

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