
他害とは何か|叩く・噛む・物を投げる子どもを「性格」で終わらせない視点
他害に悩んでいるあなたへ
叩く。
噛む。
物を投げる。
目の前で起きるたび、心が削られる。
「育て方が悪いのか」
「甘やかしているのか」
「このままで大丈夫なのか」
まず、ここだけははっきりさせます。
他害は、性格や悪意の問題とは限りません。
多くの場合、それは神経が抱えきれなかった負荷の結果です。
この記事では、「止める」前に知っておきたい基本構造を整理します。
他害は「攻撃」ではなく「限界反応」かもしれない
神経発達に特性のある子どもは、刺激の受け取り方に偏りがあります。
- 音が強く響く
- 触れられる感覚が鋭い
- 予定変更が突然に感じられる
- 切り替えが追いつかない
一つひとつは小さく見えても、積み重なると神経は限界に近づきます。
処理しきれなかった負荷が、行動として外に出る。
それが他害として見えている可能性があります。
「わざと」ではなく、「抱えきれなかった」。
この視点を持てるかどうかで、支援の方向は大きく変わります。
強度行動障害との関係
強度行動障害は診断名ではありません。
支援上の状態像を示す区分です。
他害がある=強度行動障害ではありません。
必要以上に重く捉える必要はありません。
ASD・ADHDとの関係
ASDでは感覚過敏や予測不能への不安、
ADHDでは衝動抑制の弱さが影響する場合があります。
しかし大切なのは診断名ではなく、
今この子の神経がどれだけ負荷を抱えているかという視点です。
他害が起きやすい場面
放課後等デイサービスや学校
- 活動の切り替え
- 順番待ち
- ルール変更
- 集団刺激が強い時間帯
困らせたいのではなく、状況を止めたい可能性があります。
家庭
- 帰宅直後
- 入浴前後
- 食事前の空腹時
- きょうだいとの衝突
- 動画・ゲーム終了時
施設で抑えていたものが、安心できる家庭であふれることもあります。
「目を見て叩く」は悪意か?
目を見て叩くと、分かってやっているように見えます。
しかし神経が過負荷状態では抑制機能が弱まります。
分かっていても止めきれない状態は存在します。
行動には機能がある
- 逃避・回避
- 要求獲得
- 感覚調整
- 自己調整
他害は「悪さ」ではなく、神経の調整行動の可能性があります。
ゼロを目指さない
現実的な目標は3つです。
- 回数を減らす
- 強さを弱める
- 回復を早める
止めるより、減らす。
必ず確認する身体条件
- 睡眠は足りているか
- 空腹・満腹状態
- 排泄の我慢
感情より先に身体を見る。
ここは外してはいけません。
次に必要なのは「構造」
他害は突然に見えて、実は段階があります。
- 安定
- 負荷上昇
- 前兆
- 飽和
- 爆発
減らせるのは前兆と飽和の段階です。
次の記事では、この積み重なりの構造を具体的に解体します。
他害4部作|段階的に理解する
上から順に読むことで、「止める」から「減らす」へと視点が移行します。
まとめ
他害は性格の問題とは限りません。
神経負荷の限界反応の可能性があります。
止める前に整える。
責める前に構造を見る。
そこから支援は変わります。
