
その場では問題なし。でも家に帰ると大荒れする子の話
放課後等デイサービスを利用している保護者から、
こんな相談を受けることがあります。
「放課後等デイサービスでは落ち着いていたと言われたのに、
家に帰った瞬間から大荒れでした」
この話、珍しくありません。
むしろ現場をよく見ている人ほど「あるある」だと感じるはずです。
「その場で大丈夫」は、本当に大丈夫だったのか
例えば、こんな子がいます。
その子は、我慢できることが「2つまで」のタイプでした。
- これはダメ
- これもダメ
ここまでは、表情をこわばらせながらも耐えられる。
でも、3つ目が続いたとき。
- これもダメ
その場では崩れません。
一見すると、落ち着いているように見える。
でも、爆発は帰宅後に起きます。
泣く、怒る、物を投げる、叩く。
ここで大事なのは、
子どもが「その場で崩れなかった」ことが、
余裕があったことを意味しないという点です。
我慢が限界に近づいたとき、子どもに出やすい前兆
このタイプの子どもは、
限界が近づいても派手には崩れません。
代わりに、こんなサインが出ます。
- ソワソワして落ち着きがなくなる
- 逆に、動きが止まる
- 目線を合わせなくなる
- 笑顔が急に減る
- 一点を強く見つめる
- 小さな舌打ちや唸るような声が出る
どれも一つ一つは小さく、
「個性」「気分」として流されがちです。
でも現場では分かります。
これは「落ち着いている」のではなく、耐えている状態です。
ここを見逃すと、
崩れは必ず別の場所・別のタイミングで起きます。
別のよくある事例:「環境」が爆発を作っているケース
学校や放課後等デイサービスで、
棚の上におもちゃが置いてある場面。
子どもはそれを見た瞬間、気になります。
見える。
欲しい。
取りたい。
でも職員は言います。
「それは今はダメ」
このやり取りが、
1回、2回ならまだいい。
問題は、
見える状態で「ダメ」が何回も続くことです。
その場では騒がない。
手も出さない。
でも我慢は確実に積み上がっている。
そして帰宅後、大荒れ。
正直な保護者の本音はこれです。
「隠しとけや」
これは乱暴な言葉ではありますが、
本質を突いています。
「爆発しやすい状況を、わざわざ作っていないか」
という問いです。
環境で我慢を積み上げてしまう、他の具体例
- おやつが視界に入る場所に置いてある
- タブレットを見せたまま「あとでね」と言う
- 出口が見える場所で長く待たせる
- 車が見える状態で切り替えを求める
どれも「よくある光景」です。
でも、我慢が苦手な子にとっては、
「耐え続けなければならない時間を延ばしている」
という意味になります。
「落ち着いていました」という記録に違和感が出る理由
現場でよく見る記録に、こんな表現があります。
- 様子を見ながら過ごしました
- 落ち着いていました
- 機嫌良く過ごしました
放課後等デイサービスでは、
必ず何かしらの出来事があります。
切り替え、待つ時間、断られる場面、
他児との距離、音や視覚刺激。
それなのに「何もなかった」ように見える記録は、
保護者にこう思わせます。
「本当に見てたん?」
「関わってた?」
分かっていれば、防げる崩れ方もある
このタイプの子への支援で重要なのは、
声かけよりも組み立てです。
- 2つまでは、あえて辛抱してもらう
- 3つ目は通すと事前に決めておく
- 誘惑は視界から外す
- どうしても見えるなら「いつならOKか」を先に伝える
これは甘やかしではありません。
爆発を「帰宅後に回さない」ための支援調整です。
支援の質は「その場」では測れない
本当に見るべきなのは、
- 帰宅後どうだったか
- 翌日はどうだったか
- 家庭で何が起きているか
そこまで含めて、支援です。
静かだったから成功、ではありません。
この話で伝えたいこと
子どもによって、
「2つ」も「3つ」も違います。
でも一つだけ確実に言えます。
その場だけを見るのか。
一日の積み重ねを見るのか。
ここが、支援の質の分かれ目です。
ここまで読んで、
「じゃあ、どういう放課後等デイサービスなら安心できるのか」
そう感じた方もいるかもしれません。
正解を一つに決めることはできません。
ただ、迷わないための“判断の軸”は持てます。
・何を見ているのか
・どこで「我慢が積み上がっている」と判断するのか
・崩れる前に、何をどう調整するのか
こうした軸があるかどうかで、
「その場では大丈夫」に振り回されにくくなります。
ふきのこでは、
日々の支援と保護者とのやり取りの中で、
迷いが生じたときに戻れる考え方を整理してきました。
判断を早めるためではなく、
判断を誤らないために。
もし、
「今の支援を一度整理して考えたい」
「施設を見る目を、自分の中に持ちたい」
そう感じた方は、
放課後等デイサービスの選び方・支援方針をまとめたページ
も参考にしてみてください。
無理に決めなくて構いません。
ただ、迷ったときに戻れる場所として。

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