ふきのこが「止める支援」より「前兆を拾う支援」を重視する理由

children
具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

ふきのこが「止める支援」より「前兆を拾う支援」を重視する理由

子どもの支援で、もっとも分かりやすいのは
「何かが起きた後に対応すること」です。

たとえば、

  • 叩いたから止める
  • 走り出したから追いかける
  • 物を投げたから回収する
  • 大声が出たから落ち着かせる
  • 他児とのトラブルが起きたから間に入る

こうした対応は、もちろん必要です。
安全を守るために、その瞬間の介入が要る場面は確かにあります。

ですが、ふきのこでは、「起きてから止めること」を支援の中心には置きません。

なぜなら、
起きた後の対応だけを積み重ねても、
子どものしんどさの構造が変わらなければ、
同じことはまた起こるからです。

そして実際には、多くの崩れには
いきなり見える爆発の前に、
小さな変化、
微妙なズレ、
前兆のようなものが出ています。

だから、ふきのこが重視するのは、
「起きた後にどう止めるか」だけではなく、
起きる前に何を拾い、どこで支援を切り替えるか
です。

「止める支援」は必要。でも、それだけでは後手になり続ける

支援の現場では、
目の前で起きたことに反応するしかない場面があります。

他害が出た。
物が飛んだ。
飛び出しそうになった。
自傷が始まった。

そういう時に、
「まず見立てを」などと言って何もしないわけにはいきません。
安全確保は最優先です。

でも、そこで支援が終わってしまうと、
毎回やることは同じになります。

  • 叩いたら止める
  • 走ったら追う
  • 投げたら片づける
  • 崩れたら離す

これは、必要ではあるけれど、
かなり後手の支援です。

つまり、
その子にとっての本当のしんどさや、
崩れまでの流れを変えているわけではなく、
見えている結果だけを処理している状態
になりやすいのです。

ふきのこでは、
安全確保は当然やりながらも、
それだけで終わらせないことを大切にしています。

多くの崩れは「突然」ではなく、「前兆を見落としている」だけのことがある

保護者の方や支援者の方から、
「急に崩れました」
「さっきまで普通だったのに急に叩きました」
「何がきっかけか分かりません」
という言葉を聞くことは少なくありません。

もちろん、本当に急なように見える場面もあります。

ですが、丁寧に見返すと、
実際にはその前に何かが起きていることがかなりあります。

たとえば、

  • 急に静かになる
  • 急にふざけ始める
  • 視線が止まる
  • そわそわ歩き回る
  • 急に物を触り始める
  • 返事の仕方が変わる
  • 表情が固くなる
  • いつもより声量が上がる

こうした変化は、
大人が“まだ大丈夫”と見て通り過ぎやすいものです。

でも、その子にとっては、
すでにしんどさが始まっているサインかもしれません。

つまり、
突然崩れたのではなく、
前兆を読めていなかっただけ
のことがあります。

ふきのこが前兆を重く見るのは、支援を早く切り替えられるから

前兆を拾うことの一番大きな意味は、
大きく崩れてから対応するのではなく、
まだ戻れる段階で支援を変えられることです。

たとえば、

  • 人を離す
  • 刺激を減らす
  • 課題を止める
  • 場所を変える
  • 声かけを減らす
  • 排泄や身体不快を疑う

といったことは、
崩れきってからより、
前兆の段階の方がずっと通りやすいです。

逆に、
大きく爆発した後では、
本人の中でもうかなり上がっているので、
そこから落ち着くまでに時間も負担もかかります。

だから、ふきのこでは
「何か起きたら対応する」より先に、
何か起きそうな時点で支援を変える
ことを重視します。

前兆は派手とは限らない。むしろ地味で分かりにくい

ここが難しいところです。

前兆というと、
多くの人は
「そわそわする」
「声が大きくなる」
「動きが増える」
といった分かりやすい変化を思い浮かべます。

もちろん、それもあります。

でも実際には、
もっと分かりにくい前兆を出す子もいます。

  • 急に静かになる
  • 笑っているが目が落ち着かない
  • 返事はするが遅い
  • 同じ物を触り続ける
  • 妙にきちんとし始める
  • 逆にやたら明るくなる

こうした変化は、
「問題」には見えにくいです。

だからこそ、
前兆を拾う支援は、
行動の大きさだけではなく、
その子特有の崩れ前の質
を見ていく必要があります。

このあたりの考え方は、
支援全体の土台としてこちらでも整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、「止める支援」が主役になりやすい

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
集団の中で安全を守る必要があります。

だからどうしても、

  • 危ないことを止める
  • 流れを守る
  • 他児への影響を減らす
  • その場を立て直す

といった支援が前に出やすくなります。

これは制度上も現場上も自然です。

でも、その構造の中では、
前兆を拾う支援は後回しになりやすいです。

なぜなら、前兆は
“まだ起きていないもの”だからです。

目立たないし、
急ぎの対応にも見えにくい。
でも本当は、
そこで見立てられるかどうかで、
一日の崩れ方がかなり変わります。

ふきのこでは、
止める支援が必要な場面を否定せず、
その上で
止めなくていい段階をどれだけ増やせるか
を大事にしています。

「起きた後にうまく対応した」より、「起きる前に支援を変えられた」を重く見る

支援者は、
大きな崩れの場面を何とか収めると、
達成感を持ちやすいです。

もちろん、
実際に大変な場面を安全に越えることには意味があります。

でも、ふきのこでは、
それ以上に
そこまで行く前に何ができたか
を見ます。

たとえば、

  • 表情が変わった時点で人を離した
  • 急な静けさで課題を止めた
  • 急なふざけを前兆と見て切り替えた
  • そわそわを排泄前サインと見てつないだ
  • 声かけを増やさず刺激を減らした

こうしたことができると、
大崩れそのものを減らせることがあります。

つまり、
支援の質は
「崩れた後に上手くさばいたか」だけではなく、
崩れる前にどこまで見立てられたか
でも決まります。

前兆を拾うには、記録の視点も変わる

前兆を重視するなら、
記録の取り方も変わります。

「何が起きたか」だけでは足りません。

必要なのは、

  • その前に何があったか
  • 表情や視線はどう変わったか
  • どのタイミングで空気が変わったか
  • 支援者が何を足し、何を引いたか
  • どこなら戻れたか

まで含めて見ることです。

これがないと、
毎回「叩いた」「走った」「崩れた」で終わります。

でも前兆が残るようになると、
その子に特有の崩れ方が少しずつ見えてきます。

ふきのこでは、
記録も
「起きた事実の一覧」
ではなく、
前兆を次の支援へつなぐための材料
として扱います。

ふきのこの支援観では、「前兆を拾う」は予防ではなく理解です

前兆を拾うというと、
予防のための技術のように聞こえることがあります。

もちろん、結果として予防にはつながります。

でも、ふきのこで大切にしているのは、
単に問題を未然に防ぐことだけではありません。

もっと大事なのは、
その子が
どこで苦しくなり、
どんな変化を出し、
どこから限界に向かうのかを理解することです。

つまり、
前兆を拾うことは
「上手に止めるため」
ではなく、
その子を読み違えないため
でもあります。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
崩れた後の対応だけを支援の中心には置きません。

そうではなく、

  • その前に何が起きていたか
  • どんな小さな変化が出ていたか
  • どこで支援を切り替えられたか
  • 何を足すより、何を減らすべきだったか
  • 次はどこを早く拾えるか

を見ます。

大切なのは、
止める力を上げることだけではなく、
その子が崩れに向かう前のサインを見逃さないこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

ふきのこが「止める支援」より「前兆を拾う支援」を重視するのは、
起きた後に対応するだけでは、
子どものしんどさの流れそのものは変わりにくいからです。

大切なのは、
爆発した後にどうさばくかだけではなく、
その前の小さな変化をどれだけ見つけ、どこで支援を切り替えられるか
です。

前兆を拾えるようになると、
支援は「問題が起きたら止めるもの」から、
「その子が崩れに向かう流れを理解して支えるもの」へ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

報告する

関連記事一覧

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。