その行動、読み違えていませんか?|こだわっているように見えて、実は不安をつなぎ止めている子

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

その行動、読み違えていませんか?|こだわっているように見えて、実は不安をつなぎ止めている子

子どもの支援をしていると、
同じ順番に強くこだわる子、
同じ物を持ちたがる子、
いつも通りでないと崩れやすい子がいます。

たとえば、

  • 並べ方が少し違うだけで止まる
  • いつもの道順でないと不安定になる
  • 特定の物がないと動けなくなる
  • 流れが変わると強く拒否が出る
  • 終わったことをもう一度確認しないと次へ行けない

こうした姿を見ると、
大人はつい
「こだわりが強い」
「融通がきかない」
「変化に弱い」
と受け取りやすくなります。

もちろん、
実際にこだわりの強さとして見える面はあります。

ですが、ふきのこでは、こだわっているように見える子を、そのまま“ただこだわりが強い子”とは見ません。

なぜなら、
その背景には、
好き嫌いや頑固さだけではなく、
不安をつなぎ止めるために必要な手がかりを必死で守っている
ことが少なくないからです。

つまり、
「こだわっている」のではなく、
それが崩れると自分が保てなくなるから離せない
のかもしれません。

だから、この見え方もかなり読み違えやすい。
そして読み違えるほど、
支援はこだわりを崩す方向へ寄り、
その子の不安はさらに強くなりやすくなります。

こだわりは目立ちますが、その役割は見えにくいです

こだわりは、
外から見るととても分かりやすいです。

同じやり方を通そうとする。
順番が違うと止まる。
決まった物を離さない。
少しの変更で崩れる。

こうしたものは、
支援者にも保護者にもはっきり見えます。

でも、本当に見たいのは
その行動そのものではなく、
そのこだわりが何を支えているのか
です。

同じように見えても、

  • 見通しを保つためのこだわり
  • 不安を抑えるためのこだわり
  • 感覚的な安定を作るためのこだわり
  • 切り替え負荷を減らすためのこだわり
  • 過去に崩れなかった流れを守ろうとするこだわり

では、意味がかなり違います。

ここを見ないまま
「こだわりが強いから少しずつ崩そう」
へ進むと、
本人にとっては
自分を保つ最後の支えを外される経験
になりやすいです。

ふきのこが見ているのは「何にこだわるか」だけではなく「それがないと何が崩れるか」です

ふきのこでは、
子どもが何かに強くこだわった時、
その対象だけを見ません。

それよりも、

  • それがあると何が保ちやすいのか
  • それが崩れるとどこから不安定になるのか
  • どの場面でこだわりが強くなりやすいのか
  • 疲れや不安が高い日に強まるのか
  • 代わりになる手がかりはあるのか

を見ます。

つまり、
「これにこだわる子」ではなく、
これがないと何を保てない子なのか
を見ます。

ここが見えると、
こだわりは困った行動ではなく、
その子が自分を保つために使っている支えとして読めることがあります。

なぜ子どもは「こだわっているように見える」のか

1. 先が見えない不安を減らしたいからです

子どもの中には、
見通しが弱いほど、
同じ流れや同じ順番を強く求める子がいます。

いつも通りであれば次が読める。
順番が同じなら不安が少ない。

この時、
こだわっているのではなく、
先が分かることでやっと保てている
のかもしれません。

2. 変化そのものが強い負荷だからです

少しの変更でも、
その子にとってはかなり大きな刺激になることがあります。

場所、物、人、順番、言い方。

大人には小さな違いでも、
本人には大きな差として入るため、
変わらないことを必死で守ろうとすることがあります。

それは頑固さというより、
変化の重さに耐えるのが難しい
のかもしれません。

3. 感覚的に落ち着く手がかりが必要だからです

特定の物、
並び方、
触り方、
確認の仕方。

こうしたものが、
その子にとって感覚的な落ち着きにつながっていることがあります。

この場合、
こだわりを崩されることは、
安心の土台を崩されることに近いかもしれません。

4. 以前うまくいった流れを守ろうとしているからです

一度崩れなかったやり方、
うまく通れた順番、
安心できた物や場所。

そうした経験があると、
子どもはそれを強く守ろうとすることがあります。

これは変化を拒んでいるというより、
崩れない方法を必死で持っている
のかもしれません。

なぜ「ただのこだわり」と読むと危ないのか

1. 不安の支えを先に外してしまうからです

こだわりとだけ見ると、
支援はどうしても
「崩していく」
「慣れさせる」
方向へ寄りやすくなります。

でも、本当に必要なのが
不安を支える手がかりなら、
その関わりはかなり重くなります。

2. 崩れる理由を性格の問題にしやすいからです

頑固、
融通がきかない、
こだわりが強い。

こうした言葉でまとめてしまうと、
その子が何に不安を感じているのか、
どこで見通しが切れるのかが見えなくなります。

すると、支援は深まりません。

3. 代わりの支えを作る発想が消えやすいからです

こだわりをただ減らす対象にすると、
「何を代わりに渡せば保てるか」
という視点が抜けやすくなります。

でも本当は、
順番の見える化、
写真、
予告、
別の安心物など、
代わりになる支えを作れることがあります。

4. 保護者にも「こだわりが強い子」で終わりやすいからです

事業所側が
「こだわりが強くて」
で終わると、
保護者も
「性格だから仕方ないのかな」
と受け取りやすくなります。

でも本当に見るべきなのは、
何を支えにしていて、
何が崩れると苦しいのかです。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、この読み違いがかなり起きやすいです

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
集団の流れや活動の都合があるため、
こだわりはどうしても目立ちます。

その中で、
「柔軟性をつけよう」
「変更にも慣れよう」
という方向へ行きやすいことがあります。

でも、ふきのこでは
そこを急ぎません。

まず、
そのこだわりが
何を支えているのかを見ます。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

ふきのこでは、「こだわりを崩す」より「安心を別の形で渡す」を先にします

ふきのこが大切にしているのは、
こだわりを力で崩すことではありません。

それよりも、

  • 見通しを強める
  • 予告を入れる
  • 流れを見える形にする
  • 代わりになる安心物を探す
  • 変化の幅を小さくする

ことで、
安心を別の形でも持てるようにする
ことを先にします。

この順番が逆になると、
支援はその子の不安を増やすものになりやすいです。

ふきのこの支援観では、「こだわり」に見えるものほど丁寧に読みます

このシリーズでは、
表面に見えている行動と、
実際に内側で起きていることがズレる場面を扱っています。

「こだわっているように見える」も、その代表の一つです。

頑固、
融通がきかない、
変化に弱い。

こうした読み方は、
時に子どもが必死に守っている安心の手がかりを見えなくします。

だから、ふきのこでは
こだわりが強い時ほど、
本当に起きているのが頑固さなのか、
不安の強さなのか、
見通しの弱さなのかを見ます。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
こだわっているように見える子を、
そのままただこだわりが強い子とは見ません。

そうではなく、

  • そのこだわりが何を支えているのか
  • 何が崩れると不安が上がるのか
  • どの場面で強まりやすいのか
  • 代わりに渡せる安心は何か
  • どうすれば少しずつ広げられるか

を見ます。

大切なのは、
こだわりを早く減らすことではなく、
その子が何を支えにして保っているのかを読み違えないこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

こだわっているように見えて、実は不安をつなぎ止めている子がいます。

同じ順番、同じ物、同じ流れに強く引かれることは、
必ずしも頑固さや融通のなさを意味しません。

大切なのは、
「こだわりが強い」と早く決めることではなく、
そのこだわりが何を支え、何が崩れると不安定になるのかを丁寧に見ること
です。

その視点があると、
支援はこだわりを崩すものではなく、
その子が安心を別の形でも持てるように整えていくものへ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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