ふきのこが「声かけを増やせばいい」と考えない理由

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

ふきのこが「声かけを増やせばいい」と考えない理由

子どもの支援について話していると、
かなり高い頻度で出てくるのが、
「もう少し声をかけた方がいいのでは」
「もっと丁寧に説明した方がいいのでは」
「言い続ければそのうち入るのでは」
という発想です。

実際、児童発達支援や放課後等デイサービスの現場では、
子どもが止まった時、
動けない時、
切り替えられない時、
支援者はまず言葉で支えようとします。

それ自体は自然なことです。
声かけは支援の基本の一つですし、
言葉で見通しが持てる子、
短い一言で安心できる子、
確認の声で戻りやすくなる子も確かにいます。

ですが、ふきのこでは、困った時に「声かけを増やせばいい」とは考えません。

なぜなら、
子どもが止まっている時、
崩れかけている時、
反応が薄くなっている時ほど、
言葉そのものが重くなっていることが少なくないからです。

つまり、入らない子に対して声かけを増やすことは、
支援を厚くしているようでいて、
実際にはさらに負荷を足してしまうことがあります。

声かけは支援になることもある。でも、負荷になることもある

ここをかなり丁寧に分けて考える必要があります。

声かけは、支援の中でとても大事です。

たとえば、

  • 短く見通しを伝える
  • 不安な時に今から何が起きるかを知らせる
  • 気持ちの切り替えのきっかけを作る
  • 次の動きを明確にする

こうした場面では、言葉が支えになります。

でも逆に、

  • すでに余裕がない時
  • 言葉の処理が落ちている時
  • 切り替え要求として入る時
  • 説明そのものが圧になっている時
  • 同じ言葉が嫌な経験と結びついている時

には、声かけが支えではなく負荷になります。

大事なのは、
声かけが良いか悪いかではなく、
今その子にとって、言葉が入る状態なのかどうかを見ることです。

ふきのこが先に見るのは、「何を言うか」ではなく「今、言葉が入るか」

支援の現場では、
子どもが止まった時に、
何と声をかけるべきかを考えやすくなります。

でも、ふきのこでは、その前に確認することがあります。

  • 今その子は、言葉を受け取れる状態か
  • 表情は固まっていないか
  • 視線は止まっていないか
  • すでに不安や緊張が上がりすぎていないか
  • こちらの声が要求や圧として入っていないか

つまり、
「何て言うか」の前に、
そもそも今、言葉で入る場面なのか
を見ます。

ここを飛ばすと、
適切そうな言葉を選んでも、
支援はズレます。

なぜ「声かけを増やす」が逆効果になりやすいのか

1. 言葉が増えるほど、処理量が増えるから

子どもが落ち着いている時なら、
説明が少し長くても入ることがあります。

でも、崩れかけている時、
不安が高い時、
感覚負荷が強い時は、
言葉の量そのものが重くなります。

大人は支えようとして説明を足しますが、
子どもからすると、

  • 情報が多い
  • 何を優先すればいいか分からない
  • 途中からもう入らない
  • 要求だけが強く残る

ということが起きやすいです。

結果として、
声かけを増やしたのに、むしろ動けなくなることがあります。

2. 言葉が「支援」ではなく「圧」になるから

支援者は優しく言っているつもりでも、
子どもにとっては
「今すぐやって」
「ちゃんとしよう」
「動いて」
という圧として入ることがあります。

特に、
切り替えが難しい時、
排泄前後、
感覚負荷が強い時、
初めての場面、
集団の中などでは、
声かけそのものが追い込みになる子がいます。

この時、
言い方だけをやわらかくしても、本質はあまり変わらないことがあります。

3. 同じ言葉が、嫌な経験と結びついていることがあるから

子どもの中には、
特定の言葉そのものが重くなっていることがあります。

たとえば、

  • 「トイレ行こう」
  • 「頑張って」
  • 「大丈夫」
  • 「待って」
  • 「あとで」

といった言葉が、
過去のしんどい経験や失敗と結びついていることがあります。

この場合、
言葉の内容が正しいかどうかより、
その言葉を聞いた瞬間に何が立ち上がるか
の方が重要です。

4. 大人が「やっている感」を持ちやすいから

声かけは、大人にとってやりやすい支援です。
その場でできるし、
すぐ反応を試せるし、
何か関わっている実感も持ちやすい。

でも逆に言えば、
やりやすいからこそ、
本当は引くべき場面でも足しやすいです。

つまり、
声かけを増やすことは、
子どもに合っているから行われるのではなく、
大人が今すぐできる支援だから行われやすい
という面もあります。

ふきのこでは、ここをかなり警戒しています。

児童発達支援・放課後等デイサービスで起きやすい「声かけ過多」

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
集団の中で場を回す必要があるため、
どうしても声かけが増えやすくなります。

たとえば、

  • 流れに戻してあげたい
  • 活動に参加してほしい
  • 他児との兼ね合いで待てない
  • 次の予定がある
  • 危険があるので早く切り替えたい

こうした事情があると、
自然と
「もう一声かけよう」
「もう少し丁寧に伝えよう」
となりやすいです。

でも、そこで言葉を重ねるほど、
その子はさらに入らなくなることがあります。

そして最終的に、

  • 反応がなくなる
  • 急に静かになる
  • 急にふざけ始める
  • 逃げる
  • 怒る
  • 他害や自傷が出る

という形で崩れます。

だから、ふきのこでは、
声かけが多いことを支援の厚さとは見ません。

むしろ、
必要な時にだけ、必要な量で、必要な入り方をすること
の方を大切にしています。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

ふきのこでは、声を足す前に「減らす支援」を考えます

子どもが止まっている時、
ふきのこがまず考えるのは、
「何て声をかけるか」だけではありません。

それよりも先に、

  • 刺激を減らせないか
  • 人を離せないか
  • 課題を小さくできないか
  • 視覚や動線で伝えられないか
  • 今は待った方がいいのか
  • その子が戻りやすい条件は何か

を考えます。

つまり、
声かけは最初の手段ではなく、
その子が入れる状態を整えたあとに使うもの
として考えます。

これを逆にすると、
入らない子に対して言葉だけが増え、
支援者も子どももどんどん苦しくなります。

短い一言が入る子と、言葉より先に環境調整が必要な子がいる

ここもかなり大事です。

子どもによって、
言葉の効き方はかなり違います。

たとえば、
短い一言で見通しが持てる子もいます。
「あと一回」
「次はこれ」
「終わったら休憩」
これだけで動ける子もいます。

一方で、
言葉を聞いた瞬間に固まる子、
要求として受け取って怒る子、
説明が長いほど入らなくなる子もいます。

さらに、
視覚の方が入りやすい子、
動線でつないだ方がいい子、
そもそも今は何も足さない方がいい子もいます。

だから、ふきのこでは
「まず声かけ」
を全員に当てません。

その子にとって、
今必要なのが言葉なのか、
環境調整なのか、
待つことなのか、
別の手がかりなのかを見ます。

「言葉が入らない子」ではなく、「今は言葉が重い子」と見ることがある

支援の現場では、
よく
「この子は言葉が入らない」
という言い方がされます。

でも、ふきのこでは、
その表現をそのまま使わないことがあります。

なぜなら、
本当に言葉が入らないのではなく、
今の状態では言葉が重すぎる
だけのことがあるからです。

落ち着いている時なら入る。
一対一なら入る。
短い一言なら入る。
視覚と一緒なら入る。
十分な安心がある時なら入る。

つまり、
「言葉が入らない子」ではなく、
「今この場面では言葉を足すと逆に重くなる子」
と見る方が、支援としては正確なことがあります。

この違いはかなり大きいです。

前者だと、
子どもの側の問題として終わりやすい。

でも後者だと、
支援の入り方を変える余地が見えてきます。

ふきのこの支援観では、「話しかけること」より「読み違えないこと」を重視します

ふきのこの支援観シリーズでは、
一見支援らしく見えることが、
実はその子にとって負荷になっていないかをかなり大事に見ています。

声かけもその一つです。

多く言うこと、
丁寧に説明すること、
優しく励ますこと、
それ自体が悪いわけではありません。

でも、
その子の状態を見ずに足してしまえば、
支援ではなく負荷になります。

だから、ふきのこでは
「どんな言葉をかけるか」より先に、
今、その子に言葉を足していいのか
を見ます。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
困った時に
「もっと声をかけよう」
を最初の答えにはしません。

そうではなく、

  • 今は言葉が入る状態か
  • 声かけが要求や圧になっていないか
  • 刺激を減らす方が先ではないか
  • 別の手がかりの方が合うのではないか
  • 今は足すより引く場面ではないか

を見ます。

大切なのは、
声を増やすことではなく、
その子が入れる形へ支援を組み替えることです。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

ふきのこが「声かけを増やせばいい」と考えないのは、
子どもが止まっている時、崩れかけている時ほど、
言葉そのものが重くなっていることがあるからです。

大切なのは、
何を言うかだけではなく、
今、その子に言葉を足していい状態なのかを見ることです。

声かけを増やす前に、
刺激を減らす、
人を離す、
環境を整える、
待つ、
別の手がかりに変える。

そうした見方ができると、
支援は「もっと言うこと」から、
「その子が入れる形をつくること」へ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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