
▶ 強度行動障害の支援方法
ふきのこの連絡帳が長い理由|「機嫌良く過ごしました」で終わらせないために
児童発達支援や放課後等デイサービスの連絡帳というと、
その日の様子を短く伝えるもの、
というイメージを持たれることがあります。
たとえば、
- 機嫌良く過ごしました
- 落ち着いて参加できました
- 楽しく活動されました
- 本日もありがとうございました
こうした書き方自体を、全部否定したいわけではありません。
短い言葉で一日をまとめる必要がある場面もあります。
ですが、ふきのこでは、連絡帳を「短く無難にまとめるもの」とは考えていません。
むしろ、かなりしっかり書きます。
それは、
文章が得意だからとか、
丁寧に見せたいからとか、
そういう話だけではありません。
書かなければ見えないことが多い子たちが多いからです。
ふきのこには、
重度の子、
強度行動障害のある子、
発語で自分の状態や活動内容を伝えにくい子が多く通っています。
だからこそ、
「今日は機嫌よく過ごしました」
「落ち着いていました」
だけでは、
保護者にとって本当に必要な情報が届かないことが多いのです。
ふきのこの連絡帳が長いのは、こだわりではなく必要性です
ふきのこの連絡帳は、
一般的な連絡帳のイメージより長いことがあります。
活動内容だけでなく、
その時の様子、
前後の流れ、
どういう支援が入ったか、
何が難しかったか、
何がよかったか、
どこに意味があったかまで書くことがあります。
これは、単に丁寧さを競っているわけではありません。
ふきのこに通う子どもたちの多くは、
帰宅してから
「今日こんなことをした」
「こんな場面で少し困った」
「ここで頑張った」
と自分の言葉で十分に伝えられるとは限りません。
発語が少ない子もいます。
言葉があっても、出来事を順序立てて伝えるのが難しい子もいます。
その場では過ごせても、帰ってきたらもう疲れていて説明できない子もいます。
つまり、連絡帳が薄いと、
保護者は
わが子がそこで何をして、どう過ごして、何があったのかが本当に分からない
ままになります。
だから、ふきのこでは、連絡帳を軽く扱いません。
「機嫌良く過ごしました」「落ち着いていました」だけでは分からないことがあります
子どもが穏やかに見えた日でも、
保護者が知りたいのは、
その一言だけではないことが多いです。
たとえば、
- 何をして過ごしたのか
- どんな活動に取り組んだのか
- どこで笑顔が見られたのか
- 少し難しかった場面はあったのか
- どういう支援で保てていたのか
- 家でも気をつけた方がいいことはあるのか
そうしたことが分かると、
保護者は初めて
「今日のわが子の一日」を具体的に受け取れます。
逆に、
「機嫌良く過ごしました」
「落ち着いていました」
だけで終わると、
安心はするかもしれませんが、
実際には何も見えていないことがあります。
特に、重度の子や強度行動障害のある子では、
表面的に落ち着いて見えることと、
本当に安心して過ごせたことは、必ずしも同じではありません。
だから、ふきのこでは、
一言で丸めるより、
情景が伝わることを大切にしています。
この考え方には、私自身の当事者としての経験があります
ふきのこの連絡帳をしっかり書く理由には、
私自身の経験も大きく関わっています。
自分の息子が、
児童発達支援や放課後等デイサービスに通っていた時、
正直、
「何をしているのか全く分からない」
と感じることがありました。
連絡帳には、
- 機嫌良く過ごしました
- 落ち着いていました
といった内容だけで終わっていることがありました。
でも、親として知りたかったのは、
そんな抽象的なことだけではありません。
今日どこで過ごしたのか。
どんな表情だったのか。
何に取り組んだのか。
何が難しかったのか。
どういうふうに関わってもらったのか。
そこが見えないと、
預けているのに、わが子の一日が見えない。
そんな感覚が残ります。
しかも、見えないだけでは済まない経験もありました。
水分不足で脱水状態のようになって帰宅したこと。
公園に出かけて全身を蚊に刺され、救急を受診することになったこと。
こうした経験は、
ただ「もっと丁寧に書いてほしい」という話ではなく、
連絡帳や共有が薄いことは、時に保護者が異変に気づく機会すら奪う
ということを強く感じさせました。
だから、ふきのこでは、
連絡帳を“形式的な報告”にしたくないのです。
ふきのこの連絡帳で大切にしているのは「情景が見えること」です
ふきのこが連絡帳で目指しているのは、
ただ情報量を増やすことではありません。
大切にしているのは、
保護者が読んだ時に
その日の子どもの姿が思い浮かぶこと
です。
たとえば、
- どの活動に取り組んだのか
- どんな表情だったのか
- 何に興味を示したのか
- どこで少し難しさが出たのか
- どういう支援で戻れたのか
が見えると、
保護者は「今日も無事でした」以上のものを受け取れます。
それは単なる安心ではなく、
子ども理解の積み重ねになります。
異変が分かることも、連絡帳の大事な役割です
連絡帳は、楽しかったことを書くためだけのものではありません。
むしろ、
保護者が気づいておいた方がいいこと、
少し様子が違ったこと、
家庭でもつながるかもしれない変化を書くことも大事です。
たとえば、
- 今日は水分摂取が少なかった
- 活動中に少し疲れが見られた
- 排泄前にそわそわが強かった
- 特定の刺激で表情が固くなった
- 帰り際に少し不安定さが見られた
こうしたことが共有されると、
保護者は帰宅後の様子を見やすくなります。
逆に、そこが抜けると、
家で起きたことと事業所で起きていたことがつながらず、
ただ「今日はなんだか変だな」で終わってしまうことがあります。
ふきのこでは、
連絡帳も
異変の早期共有
の一つだと考えています。
「思いつかなかったことが分かる」連絡帳でありたいと考えています
保護者は、家庭では見えていても、
事業所でのわが子の姿までは見えません。
一方で支援者は、
事業所での姿は見えても、
家庭での細かな暮らしまでは分かりません。
だからこそ、
連絡帳には
お互いが持っていない視点を埋める役割があります。
ふきのこでは、
保護者から
- 情景がわかる
- 異変がわかる
- 思いつかなかったことがわかる
- 活動のねらいがわかる
- ためになる
- 勉強になる
といった声をいただくことがあります。
これは、単に文章量が多いからではなく、
支援者が何を見て、何を考えていたかが伝わっているから
だと思っています。
親は、ただ今日あったことだけが知りたいのではありません。
「そういう見方があるのか」
「そこを見ればいいのか」
「こういうねらいで活動していたのか」
と分かると、
家庭での理解も変わっていきます。
活動のねらいまで伝えるのは、療育を見えるものにするためです
重度の子や発語の少ない子の支援では、
活動内容だけを書いても、
保護者には意味が伝わりにくいことがあります。
たとえば、
「色分けをしました」
「散歩に行きました」
「ボール遊びをしました」
だけでは、
その活動が何につながっているのかが分かりません。
でも、
- 視線を向ける力
- 見て待つ力
- 目と手を合わせる力
- 見通しを持って動く力
- 切り替えを支える経験
など、活動のねらいが少しでも分かると、
保護者はその時間を「ただ過ごした時間」としてではなく、
意味のある支援時間として受け取りやすくなります。
ふきのこでは、
療育を“見えない専門性”にしすぎないことも大切にしています。
連絡帳は、ただのお知らせではなく支援の一部です
ふきのこでは、
連絡帳を
「今日あったことを伝える紙」
としてだけは見ていません。
そうではなく、
- 子どもの一日を保護者と共有する
- 子どもの理解を深める
- 家庭とのつながりを作る
- 異変を早く共有する
- 支援の意味やねらいを伝える
ためのものだと考えています。
つまり、連絡帳もまた支援の一部です。
この考え方は、ふきのこの支援観とも深くつながっています。
ふきのこの支援観
また、支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計
ふきのこで大切にしていること
ふきのこでは、
連絡帳を短く無難にまとめることより、
保護者にとって必要なことが伝わることを大切にしています。
そうではなく、
- その子が何をしていたか
- どんな様子だったか
- どこで変化があったか
- 何が支えになったか
- 活動にどんなねらいがあったか
- 家庭でつながる視点は何か
を、できるだけ具体的に伝えようとします。
大切なのは、
「今日は大丈夫でした」で終えることではなく、
わが子の一日が見え、保護者が次につなげられる連絡帳にすること
です。
ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて
まとめ
ふきのこの連絡帳が長いのは、
丁寧に見せたいからではなく、
重度の子、強度行動障害のある子、発語で伝えにくい子が多い中で、
短い一言だけでは保護者に本当に必要な情報が届かないからです。
また、私自身が親として、
「何をしているのか分からない」
「機嫌良く過ごしましただけで終わる」
「異変に気づけない」
という経験をしてきたことも、大きく関わっています。
大切なのは、
事実を短く並べることではなく、
情景が分かり、異変が分かり、活動の意味が分かり、保護者が子ども理解を深められる連絡帳にすること
です。
そのために、ふきのこは連絡帳を軽く扱いません。
それもまた、子どもと家族を支える大事な支援の一つだと考えています。
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

コメント