誤学習ケース①|他害で宿題を回避できた経験(小学4年)

具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

【ケーススタディ】
本記事では、学習課題をきっかけに見られた他害行動について、
前兆・背景・支援の判断・結果を整理したケーススタディを紹介します。
※個人が特定されないよう一部情報は抽象化しています。

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誤学習ケース①|他害で宿題を回避できた経験(小学4年)

放課後等デイサービスでは、宿題や学習課題をきっかけに
他害行動が出現するケースがある。

しかし重要なのは、行動が出た理由だけではない。
その行動の後に何が起きたかが、次の行動を作る。

本ケースでは、結果として

「叩くと宿題が消える」

という誤学習が形成されていた可能性がある。

強度行動障害の支援の基本原則(環境調整・結果操作)については
強度行動障害の支援方法
でも整理しています。


児童の基本情報

  • 年齢:小学4年生
  • 診断:自閉スペクトラム症
  • 知的特性:軽度知的障害
  • 言語:会話可能
  • 特性:学習課題への抵抗が強い

支援歴

利用歴は約1年。

自由遊びでは安定して活動できるが、

  • 宿題
  • 計算プリント
  • 書字課題

といった学習場面で強い抵抗が見られることがあった。

環境条件

この日は帰所後、
通常通り宿題時間が設定されていた。

支援者が机へプリントを置き、
「宿題をやろう」と声をかけた。

ケース(何が起きたか)

児童はプリントを見ると、

  • 顔をしかめる
  • 椅子を後ろへ引く

といった反応を示した。

支援者が「少しだけやろう」と声をかけると、
突然近くにいた支援者の腕を叩いた。

支援者は驚き、

  • 児童を離す
  • 周囲の安全確保
  • 宿題を一旦中止

といった対応を行った。

その日は宿題は再開されなかった。

前兆(行動前の変化)

  • プリントを見て視線が止まる
  • 身体を後ろへ引く
  • 机から距離を取る
  • 「やりたくない」と小声で言う

これらは学習課題への不安が高まっているサインと考えられる。

ABC分析

A(Antecedent)

  • 宿題提示
  • 学習開始要求

B(Behavior)

  • 支援者を叩く

C(Consequence)

  • 宿題中断
  • 課題消失

分析

このケースで重要なのは、

行動の後に宿題が消えた

という結果である。

行動分析の視点では、

行動 → 嫌な課題が消える

という結果が繰り返されると、
その行動は強化される。

つまり本人の学習としては、

叩く → 宿題がなくなる

という構造が形成される。

これは

逃避(Escape)による強化

と呼ばれる典型的な行動学習である。

誤学習が起きる理由

支援者は「安全確保」のために宿題を中断した。
これは現場として当然の判断である。

しかし結果として、

  • 他害
  • 宿題中断

という組み合わせが成立すると、
回避行動として固定される可能性がある。

支援の再設計

誤学習を修正するには、
次の3つの視点が必要になる。

①前兆段階での対応

  • プリント量の調整
  • 短時間課題
  • 成功経験の設定

②代替行動の提示

叩く代わりに、

  • 「休憩カード」
  • 「手伝って」

といった行動を教える。

③結果操作

重要なのは

叩いても宿題は消えない

という学習を作ること。

一方で、

適切な要求は通る

という経験を積ませる。

結果

課題量の調整と休憩カードの導入により、
叩く行動は徐々に減少した。

現在は

  • カード提示
  • 短い休憩

といった形で学習活動へ戻ることができる場面が増えている。

このケースから見える支援の視点

  • 行動の原因だけでなく結果を見る
  • 回避行動は学習されやすい
  • 代替行動を教えることが重要

関連リンク

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