手首を噛む自傷行動|ストレス負荷の蓄積で起きた強度行動障害ケース

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

【ケーススタディ】
本記事では、発達特性のある児童に見られた行動をもとに、前兆・背景・支援の判断・結果を整理したケーススタディを紹介します。
※個人が特定されないよう、年齢以外の一部情報は抽象化・調整しています。

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手首を噛む自傷行動|ストレス負荷の蓄積で起きた強度行動障害ケース

この記事では自傷(噛む行動)の支援事例を通して、強度行動障害の支援方法で重要になるストレス蓄積・前兆理解・環境調整の視点を整理します。

「噛んだ」瞬間だけを見るのではなく、ストレスの蓄積→前兆→行動→結果の流れから整理します。


児童の基本情報(個人特定を避けた概要)

  • 年齢:小学4年生
  • 診断:自閉スペクトラム症(ASD)
  • 知的特性:重度知的障害
  • 言語:単語レベルの発語あり
  • 感覚特性:身体刺激への反応が強く、強いストレス時に自傷行動が見られる
  • 行動特性:ストレスが高まると自分の手首を噛む行動が見られる

支援歴

当施設の利用歴は約1年。利用開始当初から自傷行動(噛む)が見られており、
特に活動が続いた日や刺激が多い日には、帰り際や活動の終盤で行動が出ることが多かった。

支援者の観察では、行動は突然起きるというよりも、
一日の負荷が蓄積したタイミングで起きる傾向があった。

環境条件

この日は放課後活動で、室内では制作活動と遊び活動が並行して行われていた。
児童は制作活動に参加していたが、途中で材料がうまく扱えず、
支援者の手助けを受けながら活動を続けていた。

活動自体は継続できていたが、途中から

  • 身体の動きが少なくなる
  • 視線が下がる
  • 返答が減る

といった変化が見られていた。

ケース(何が起きたか)

制作活動の終盤、支援者が次の作業を促した直後、
児童は突然自分の左手首を口に近づけ、強く噛む行動を示した。

噛む動きは数秒続き、その後手を離したが、
しばらく身体が固まり、視線が床に固定されていた。

支援者が近づくと、再び手首を口元に持っていく動きが見られた。

前兆(行動前の変化)

行動の直前には次の変化が見られていた。

  • 視線が下がる
  • 動きが止まる
  • 手を握る
  • 身体が硬くなる

これらは本人の中でストレスや負荷が高まっている際に
見られることがある変化である。

分析(なぜ行動が起きたのか)

このケースでは、制作活動中に失敗が続いたことで
心理的な負荷が徐々に高まっていた可能性がある。

また活動時間が長く、疲労も蓄積していたと考えられる。

その結果、本人の中で処理しきれなくなった負荷が、
手首を噛む自傷行動として表出した可能性がある。

支援の選択肢

  • 噛む行動を強く止める
  • 叱責する
  • 身体を制止する
  • 活動負荷を下げる
  • 環境刺激を減らす

支援の判断理由

自傷行動は安全面の配慮が必要であるが、
強い制止や叱責は興奮を高めてしまう可能性がある。

そのため今回は、

行動を止めることより、状態を落ち着かせること

を優先した。

実施した支援

  • 制作活動を一旦終了
  • 静かなスペースへ移動
  • 刺激の少ない環境で休憩時間を確保

結果

数分後、身体の緊張が徐々に下がり、
噛む行動は見られなくなった。

その後は座って落ち着いた様子で過ごすことができた。

再発予防

今後は、活動が長く続く場合には途中で休憩を入れ、
ストレスが蓄積しすぎないように活動構造を調整する。

このケースから見える支援の視点

  • 行動は突然起きるのではなく負荷の蓄積で起きることがある
  • 前兆を捉えることで早期対応が可能になる
  • 行動そのものより環境構造を調整する

関連リンク

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