
▶ 強度行動障害の支援方法
誤学習ケース㊵|大人操作学習(問題行動で環境を動かす学習)
子どもの問題行動を見ていると、次のような場面があります。
- 物を投げると大人が来る
- 叩くと活動が止まる
- 大声を出すと周囲が動く
このような経験が繰り返されると、子どもは次のことを学習します。
行動を起こせば環境を動かせる
これをここでは大人操作学習と呼びます。
大人操作学習とは何か
大人操作学習とは、問題行動によって周囲の大人が動く経験が繰り返されることで、問題行動が環境を変える手段として学習される現象です。
行動分析の構造では次のようになります。
- 問題行動
- 大人が反応する
- 状況が変わる
この経験が繰り返されると、子どもは次のように理解します。
問題行動は環境を変える力を持つ
その結果、問題行動は次第に増えていきます。
なぜこの学習は強く固定するのか
問題行動によって環境が変わる経験は、非常に強い学習になります。
なぜなら、その行動は単なる反応ではなく
環境を操作する手段
になるからです。
つまり子どもは次のことを理解します。
- 大人を動かす方法
- 状況を変える方法
- 活動を止める方法
これはある意味で高度な学習でもあります。
ケース
ある子どもは、活動が始まるとすぐに机を叩く行動を見せていました。
最初は偶然でした。
しかしそのとき大人は次の対応をしました。
- 危ないから止める
- 周囲を離す
- 活動を中断する
すると子どもは次のことを学習します。
机を叩くと活動が止まる
その結果、活動のたびに同じ行動が起きるようになりました。
なぜこの行動は止まりにくいのか
大人操作学習が成立すると、問題行動は次の役割を持ちます。
- 状況を変える
- 人を動かす
- 環境を操作する
つまり問題行動は、
コミュニケーション手段
として機能し始めます。
この段階になると、単に注意するだけでは行動は止まりません。
支援で重要な視点
大人操作学習を防ぐためには、次の視点が重要です。
- 問題行動で環境を変えない
- 適切な方法で環境を変える経験を作る
- 行動の前段階を観察する
つまり支援とは、
環境を動かす方法を学び直すこと
とも言えます。
問題行動の構造を理解する
問題行動は突然起きるのではなく、環境との関係の中で形成されます。
問題行動の基本構造については、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、強度行動障害の支援方法については次の記事で体系的に解説しています。
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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