
▶ 強度行動障害の支援方法
誤学習ケース㊳|失敗回避学習(挑戦より回避が固定する構造)
子どもが「やらない」「拒否する」「固まる」といった行動を見せることがあります。
このとき多くの場合、大人は次のように考えます。
- やる気がない
- わがまま
- 反抗している
しかし実際には、これらの行動は学習された回避戦略であることがあります。
これをここでは失敗回避学習と呼びます。
失敗回避学習とは何か
失敗回避学習とは、失敗や叱責などの不快な経験を避けるために、挑戦そのものを避ける行動が固定する誤学習です。
行動分析の構造では次のようになります。
- 課題提示
- 失敗経験
- 叱責・指摘
- 回避行動
この経験が繰り返されると、子どもは次のように学習します。
やらなければ失敗しない
すると行動は次第に減少し、挑戦そのものが起きなくなります。
行動分析から見た構造
失敗回避学習は負の強化によって形成されます。
回避行動をすると、不快な経験が起きなくなります。
このとき強化されるのは、
回避行動
です。
その結果、子どもは次第に次の行動を選ぶようになります。
- やらない
- 逃げる
- 拒否する
これは能力不足ではなく、学習された適応行動です。
教育心理から見た構造
教育心理学では、この現象は失敗回避動機として説明されています。
人は成功よりも、失敗による否定的評価を避けることを優先することがあります。
特に次の条件で起きやすくなります。
- 失敗が強く指摘される
- 比較が多い
- 成功経験が少ない
この環境では、挑戦するより回避する方が安全になります。
ケース
ある子どもは、プリント課題の時間になると机に伏せる行動を見せていました。
最初は単なる拒否と考えられていました。
しかし観察すると、次のことが分かりました。
- 問題を解けない
- 間違いを指摘される
- 叱責される
この経験が続いた結果、子どもは次のことを学習していました。
やらなければ怒られない
その結果、課題が提示された瞬間に回避行動が起きるようになりました。
支援で重要な視点
失敗回避学習の支援では、
成功経験の設計
が重要になります。
具体的には次の支援が必要です。
- 達成可能な課題設定
- 小さな成功体験
- 失敗への安全な環境
つまり支援とは、
挑戦が安全である環境を作ること
とも言えます。
問題行動の構造を理解する
問題行動は突然起きるのではなく、環境との関係の中で学習されます。
問題行動の基本構造については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
また、強度行動障害の支援方法については次の記事で体系的に解説しています。
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

コメント