
▶ 強度行動障害の支援方法
【誤学習ケース】
本記事では、強度行動障害の支援現場で起きやすい「誤学習(支援が行動を強化してしまう)」について解説します。
今回は、支援現場で非常に多く見られる「止める支援が行動を強くする構造」について整理します。
誤学習ケース⑯|止める支援が行動を強くする構造
強度行動障害の支援では、危険行動が見られたときに「止める」対応が行われることがあります。
例えば次のような場面です。
- 物を投げる
- 机を叩く
- 他児に向かう
- 物を壊そうとする
このとき支援者は
- 手を押さえる
- 体を止める
- 「やめよう」と声を掛ける
- 身体の動きを制止する
こうした対応は安全確保のために必要な場面もあります。
しかし状況によっては、この「止める支援」が問題行動を強化してしまう構造になることがあります。
行動の構造
行動は次の流れで理解されます。
A(状況) → B(行動) → C(結果)
例えば次のような流れです。
A:退屈・刺激不足
B:机を叩く
C:支援者が身体を止める
このとき本人には
行動を起こす → 大人が強く関わる
という学習が成立する可能性があります。
つまり問題行動が強い関わりを得る行動として学習されるのです。
なぜ「止める支援」が強化になるのか
支援者が身体を止めると、次の要素が発生します。
- 身体接触
- 強い注目
- 言葉による介入
- 環境の変化
これらは行動分析では強化子として働くことがあります。
特に刺激を求める子どもの場合、
身体接触や強い反応
そのものが報酬になることがあります。
現場で起きる典型パターン
小さな行動
↓
支援者が止める
↓
強い関わりが発生
↓
行動が維持される
すると次第に
- 叩く
- 投げる
- 他害
などへ行動がエスカレートすることがあります。
支援の修正方法
①止める以外の支援を作る
危険がない場面では、すぐに身体制止を行うのではなく、環境調整や活動転換を行います。
②適切な行動を教える
問題行動ではなく、次のような方法で要求を伝える練習を行います。
- 言葉で伝える
- カードを使う
- 支援者に近づく
③落ち着いた行動を強化する
問題行動ではなく、落ち着いた行動に対して関わりを増やします。
これにより
落ち着く → 大人が関わる
という学習を作ることができます。
まとめ
強度行動障害の支援では、安全確保のために行動を止める対応が必要な場面もあります。
しかし状況によっては
問題行動 → 強い関わり
という誤学習が成立することがあります。
支援では
- 環境調整
- 適切な行動の学習
- 落ち着いた行動の強化
といった視点を持つことが重要になります。
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