
▶ 強度行動障害の支援方法
【ケーススタディ】
本記事では、ゲームの勝敗をきっかけに起きたパニック行動について、
前兆・背景・支援の判断・結果を整理したケーススタディを紹介します。
※個人が特定されないよう一部情報は抽象化しています。
ゲームで負けるとパニックになるケース|勝敗に強く反応する小学生の支援事例
放課後等デイサービスでは、ゲーム活動の中で勝敗をきっかけにパニックが起きるケースがあります。
特に発達障害のある子どもは、
- 負ける経験
- 思い通りにならない状況
- ルールへの理解
といった場面で強いストレス反応を示すことがあります。
本記事では、ゲーム活動中に「負け」をきっかけに崩れた小学生のケースを紹介します。
強度行動障害の支援の基本的な考え方については
強度行動障害の支援方法
でも解説しています。
児童の基本情報
- 年齢:小学4年生
- 診断:自閉スペクトラム症
- 知的特性:軽度知的障害
- 言語:会話可能
- 特性:勝敗へのこだわりが強い
支援歴
施設の利用歴は約1年。
普段は落ち着いて活動へ参加できるが、
次のような場面でトラブルが見られることがあった。
- ゲームで負けたとき
- ルールが自分に不利になったとき
- 思い通りに進まないとき
特に勝敗が明確な遊びでは、
感情のコントロールが難しくなる場面があった。
環境条件
この日は室内活動としてカードゲームを行っていた。
複数の児童で順番にプレイする形式で、
ゲームには明確な勝者と敗者が生まれるルールだった。
ケース(何が起きたか)
ゲーム終盤、対象児の敗北が決まった。
その瞬間、児童の表情が変わり、
- カードを強く机へ叩きつける
- 「違う!」と大声で叫ぶ
といった行動が見られた。
その後、
- カードを床へ投げる
- 机を叩く
- 椅子を蹴る
といった行動へ発展した。
さらに
- 床へ寝転がる
- 泣き叫ぶ
といったパニック状態となった。
前兆(行動前の変化)
敗北が見え始めた段階で、
次の変化が見られていた。
- 眉間にしわを寄せる
- カードを強く握る
- 独り言が増える
- 呼吸が荒くなる
これらは感情の高まりを示すサインと考えられる。
ABC分析
A(Antecedent)
- ゲーム敗北
- 勝敗確定
B(Behavior)
- 物投げ
- 机叩き
- 叫び
- 床に寝転がる
C(Consequence)
- ゲーム停止
- 支援者の注意集中
分析
このケースでは、行動の背景として
次の要因が考えられる。
- 負けへの耐性の弱さ
- 感情調整の困難
- ゲーム結果の受容困難
発達障害のある子どもは、
- 勝ち負け
- 順位
- 競争
といった構造を理解していても、
感情面で受け入れることが難しい場合がある。
今回のケースでは、
敗北 → 強い frustration → パニック
という流れで行動が発生した可能性が高い。
支援の選択肢
- 叱責する
- 無理にゲームを続ける
- 落ち着くのを待つ
支援の判断
興奮状態で強く介入すると、
行動が拡大する可能性がある。
そのため今回は
安全確保を優先し落ち着くのを待つ
という対応を選択した。
実施した支援
- 周囲の児童を離す
- 刺激を減らす
- 短い声掛けのみ行う
結果
約10分後、児童は落ち着きを取り戻した。
その後はゲームには戻らず、
別の活動へ移行することができた。
再発予防
- 勝敗のない遊びを取り入れる
- ゲーム前にルール確認
- 感情表現の支援
このケースから見える支援の視点
- 勝敗は強い感情反応を引き起こす
- ゲーム活動にはリスクがある
- 活動選択と予告が重要
関連リンク
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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