
▶ 強度行動障害の支援方法
ふきのこが「園では大丈夫です」をそのまま安心材料にしない理由
保護者の方が子どものことを相談した時、
よく返ってくる言葉の一つに
「園では大丈夫です」
があります。
この言葉を聞くと、
少し安心する方もいます。
一方で、
どこか引っかかる方もいます。
なぜなら、家では明らかに困っているからです。
- 朝の支度で毎日止まる
- 帰宅後に一気に荒れる
- 食事や排泄で強く崩れる
- 家族にだけ当たりが強い
- 休日になると不安定さが増す
こうしたことがあるのに、
外では「大丈夫」と言われる。
このズレは、
保護者をかなり孤立させます。
ふきのこでは、「園では大丈夫です」という言葉を、そのまま安心材料にはしません。
なぜなら、
外で崩れていないことと、
その子が本当に楽に過ごせていることは、
同じではないからです。
むしろ、
外で頑張れてしまう子ほど、
家でしわ寄せが出ることがあります。
「園では大丈夫」は、事実ではあっても結論ではありません
まず大事なのは、
「園では大丈夫です」が完全に間違いとは限らない、ということです。
実際に、
- 大きな他害がない
- 活動に参加している
- 離席が少ない
- 集団の流れに乗れている
- 支援者の声かけで動けている
という意味では、
確かに「大丈夫」に見えることがあります。
でも、ここで止まると危ないです。
なぜなら、
その“できているように見える状態”が、
- 安心してできているのか
- 無理をして通しているのか
- 固まりながら何とか保っているのか
- 周囲に合わせて反応を抑えているのか
までは分からないからです。
つまり、
「園では大丈夫」は、
観察の一部としては使えても、
子どもの状態を判断する最終結論にはならない
のです。
外で頑張れてしまう子ほど、家で崩れることがあります
これはかなりあります。
特に、
- 周囲をよく見て合わせる子
- 見られている場面で固まりやすい子
- 要求をため込みやすい子
- 困っていても言葉で出しにくい子
- 発語があっても本音をその場で出しにくい子
では起きやすいです。
外では、
頑張ってその場を通す。
でも、その分だけ、
家に帰ると
- 急に怒りっぽくなる
- 些細なことで崩れる
- きょうだいに強く出る
- 食事や入浴で止まる
- 寝る前に一気に不安定になる
ということがあります。
これは、
家でわがままになっているのではありません。
むしろ、
外で何とか保っていた負荷が、
安心できる場所で一気に出ていることがあります。
ふきのこが見ているのは「外で崩れたか」ではなく「外でどう保っていたか」です
ふきのこでは、
子どもが園や学校、事業所で大きく崩れていない時ほど、
むしろ丁寧に見ます。
確認したいのは、
「問題が起きなかったか」だけではありません。
- 表情はやわらかかったか
- 視線は自然だったか
- 反応が止まりすぎていなかったか
- 不自然にふざけていなかったか
- 支援者の近くに張りつきすぎていなかったか
- 終わった後に反動が出ていないか
つまり、
「崩れていない」ことより、
どうやってその状態を保っていたのか
を見ます。
ここを見ないと、
“外では大丈夫な子”のしんどさを見落としやすくなります。
なぜ「園では大丈夫」をそのまま受け取ると危ないのか
1. 家での困りごとが軽く扱われやすくなるからです
保護者が困っていることを伝えても、
「でも園では大丈夫なので」
と言われると、
家での苦労は
個別の家庭事情のように扱われやすくなります。
でも実際には、
家で起きていることこそ、
その子の本当の負荷の出方かもしれません。
そこを軽く扱うと、
支援は生活全体から切れてしまいます。
2. 頑張りすぎや我慢を成功と誤読しやすいからです
外で保てている子は、
評価されやすいです。
でも、その中には
- 固まって動けないだけ
- 注意を向けられるのが怖くて止まっているだけ
- 崩れないように必死で抑えているだけ
という状態が混ざっていることがあります。
それを
「大丈夫」
と読むと、
支援はその子のしんどさを見逃したまま進んでしまいます。
3. 保護者が自分の感覚を疑い始めるからです
これはかなりつらいことです。
家では大変。
でも外では大丈夫と言われる。
これが続くと、
保護者は
- 自分が厳しすぎるのではないか
- 家での関わり方が悪いのではないか
- 自分の見方がおかしいのではないか
と、自分を疑いやすくなります。
でも実際には、
家でしか出ないしんどさもあります。
だから、ふきのこでは
保護者の感覚を、
「外では大丈夫だから」で打ち消さないことを大切にしています。
4. 支援の調整が遅れやすくなるからです
外で何とか通っていると、
支援者側も
「今のままで大丈夫そう」
と判断しやすくなります。
でも、
もしその状態が
ぎりぎりの我慢で成り立っているなら、
そのまま続けるほど反動は強くなることがあります。
つまり、
「外で大丈夫そう」に見える時ほど、
本当は早めの調整が必要なことがあります。
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、この読み違いが起きやすいです
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
どうしても
利用時間内に見えたことが判断の中心になりやすいです。
これは自然です。
見えるのがそこだからです。
でも、その時間だけでは、
家での反動や生活全体のしんどさは分かりません。
たとえば、
事業所では
- 制作に参加できた
- 集団活動にいた
- 大きな問題行動はなかった
としても、
家に帰ってから
- 玄関で崩れる
- 食卓で止まる
- きょうだいに強く当たる
- 寝る前に大きく不安定になる
なら、
その一日は
本当に「大丈夫だった」と言い切れません。
だから、ふきのこでは
利用中の見え方だけで安心しないことを大切にしています。
支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計
ふきのこでは、家と外のズレを“支援の手がかり”として見ます
ふきのこでは、
「家では大変だけど外では大丈夫」
というズレがある時、
そこを矛盾とは見ません。
むしろ、
かなり大事な手がかりとして見ます。
なぜなら、そのズレの中に、
- どこで無理をしているのか
- どこで安心が切れているのか
- どこで反動が出ているのか
- 何が家庭での困りごとにつながっているのか
が隠れていることが多いからです。
つまり、家と外のズレは
面倒な食い違いではなく、
見立てを深めるための重要な差
です。
ふきのこの支援観では、「外で大丈夫」は終点ではなく入口です
ふきのこの支援観シリーズでは、
一見うまくいっているように見える状態を、
そのまま成功と決めつけないことを大切にしています。
「園では大丈夫」もその一つです。
本当に安心しているのか。
無理をしていないか。
家では何が起きているのか。
その保ち方はその子に合っているのか。
そこまで見て初めて、
その子の支援が見えてきます。
支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観
ふきのこで大切にしていること
ふきのこでは、
「園では大丈夫です」という言葉を、
そのまま安心材料にはしません。
そうではなく、
- どうやって保っていたのか
- 無理や固まりはなかったか
- 家でどんな反動が出ているか
- 保護者が何に困っているか
- 生活全体の中でどこに支えが必要か
を見ます。
大切なのは、
外で崩れていないことだけではなく、
その子が家庭を含めた生活全体の中で無理なく過ごせているかどうか
です。
ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて
まとめ
ふきのこが「園では大丈夫です」をそのまま安心材料にしないのは、
外で崩れていないことと、
その子が本当に楽に過ごせていることは同じではないからです。
大切なのは、
「大丈夫そう」に見えることだけで判断するのではなく、
どう保っていたのか、家では何が起きているのかまで含めて見ること
です。
その視点があると、
支援はその場しのぎの安心ではなく、
その子と家族の生活全体に近づくものへ変わっていきます。
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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