ふきのこが「見られているとできない子」をやる気の問題と見ない理由

mental health
具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

ふきのこが「見られているとできない子」をやる気の問題と見ない理由

子どもが何かをしようとしている時、
周囲の大人から見ると
「やり方は分かっていそう」
「さっきまではできていた」
「家ではできると聞いている」
のに、
いざ見られると止まってしまうことがあります。

たとえば、

  • 名前を呼ばれると急に動けなくなる
  • みんなの前だと固まる
  • 「やってみて」と言われた瞬間に止まる
  • 見守られているだけで不自然になる
  • 一対一ではできるのに、周囲がいるとできない

こうした場面は、
児童発達支援や放課後等デイサービスでも珍しくありません。

ですが、この時に起きやすい読み違いがあります。

それが、
「やる気の問題ではないか」
「甘えているのではないか」
「できるのにやらないのではないか」
という見方です。

ふきのこでは、「見られているとできない」ことを、やる気の問題とは見ません。

なぜなら、
その子が止まっているのは、
やる気がないからではなく、
見られていること自体が負荷になっている
ことが少なくないからです。

つまり、
できないのではなく、
その場の条件が重すぎて、
本来ある力が出せなくなっていることがあります。

「できるはずなのにできない」は、本人にとっても苦しいことがあります

大人はつい、
「家ではできるなら、ここでもできるはず」
「さっきやったなら、今もできるはず」
と考えます。

この考えは、一見もっともらしいです。

でも実際には、
子どもの行動は
能力だけでは決まりません。

同じ子でも、

  • 一人ならできる
  • 見られると止まる
  • 注目されると固まる
  • 期待されると動けなくなる
  • うまくやろうとするほど不自然になる

ということがあります。

つまり、
「できる力がある」ことと、
「今この場面でその力を出せる」ことは別です。

ここを一緒にしてしまうと、
子どもは
できないこと自体だけでなく、
“できるはずなのにできない自分”の苦しさ
まで背負いやすくなります。

ふきのこが見ているのは「できるかどうか」ではなく「どんな条件なら力が出るか」です

ふきのこでは、
見られていると止まる子に対して、
まず
「この子はやる気があるか」
を見ません。

それよりも、

  • 誰が見ていると止まりやすいのか
  • 何人いると重くなるのか
  • 声をかけられると止まるのか
  • 期待される雰囲気が負荷なのか
  • 一対一なら通るのか
  • 視線が減ると少し動けるのか

を見ます。

つまり、
問題は本人の意欲ではなく、
その子の力を止めてしまう条件が何か
を探します。

同じ「できない」でも、
見られることが重い子と、
課題そのものが難しい子では、
支援はまったく違うからです。

なぜ見られているとできなくなるのか

1. 注目そのものが負荷になるからです

子どもによっては、
視線を向けられること自体がかなり重いです。

特に、

  • 正解を求められている感じ
  • 失敗できない感じ
  • 見られて評価される感じ

が強くなると、
行動より先に緊張が上がります。

その結果、
頭では分かっていても、
身体が動かなくなることがあります。

2. 「やってみて」が要求として強く入るからです

大人にとっては普通の促しでも、
子どもにとっては
「今ここでできるところを見せて」
という強い要求として入ることがあります。

余裕がある時なら通る言葉でも、
注目が重なった瞬間に、
負荷が一気に上がることがあります。

3. 失敗への不安が先に立つからです

見られている時に止まる子の中には、
失敗そのものより、
失敗した時の空気の変化、
注目の集まり方、
やり直しの流れが苦しい子もいます。

だから、
できないのではなく、
失敗を含むその場全体を引き受けきれない
ことがあります。

4. 普段の力を出すには「安心」が先に必要だからです

子どもの力は、
安心がある時ほど出やすいです。

逆に、
注目が高い、
評価される空気がある、
見られている感じが強いと、
本来ある力でも出にくくなります。

つまり、
見られているとできない子は、
能力がないのではなく、
力を出す前提条件としての安心が崩れている
のかもしれません。

なぜ「やる気の問題」で片づけると危ないのか

1. 本人の苦しさが見えなくなるからです

やる気の問題で片づけると、
止まっている背景にある緊張、不安、注目負荷が見えなくなります。

すると、
支援は
「もっと促す」
「もう一回やらせる」
「できるでしょと言う」
方向に寄りやすくなります。

でも、それは多くの場合、
本人をさらに追い込みます。

2. できる場面まで壊しやすいからです

本当は、
一対一ならできる、
視線が少ないとできる、
先に一度安心できればできる、
という子でも、
無理に注目下で通そうとすると、
もともとできていた場面まで崩れることがあります。

つまり、
読み違えた支援は、
その子の持っていた力の出方まで狭めてしまうことがあります。

3. 本人が「できない自分」を強く意識しやすくなるからです

見られていると止まる子は、
周囲が思う以上に、
自分が止まっていることを感じています。

そこに
「できるはず」
「やればできる」
が重なると、
励ましではなく、
できないことの確認として入ることがあります。

これはかなりしんどいです。

4. 家庭でも同じ押し込みが起きやすくなるからです

事業所で
「やる気の問題」と見立てられると、
家庭でも
「見守りすぎず促してください」
「できることはやらせてください」
という方向に話が進みやすくなります。

でも、本当に必要なのは、
やらせることではなく、
その子が力を出しやすい条件を整えることかもしれません。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、この読み違いが起きやすいです

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
どうしても
「集団の中でどうか」
「みんなの前でどうか」
が見えやすくなります。

そのため、
みんなの前で止まる子は、
能力よりも態度の問題として見られやすいことがあります。

でも実際には、
集団の注目は、
その子にとってかなり強い刺激です。

特に、

  • 名前を呼ばれる
  • 順番が回ってくる
  • 注目されて待たれる
  • 「やってみよう」と見守られる

こうした場面では、
能力があっても止まりやすい子がいます。

だから、ふきのこでは
「集団でできたか」だけで評価せず、
その子がどの条件なら力を出しやすいか
を見ます。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

ふきのこでは、「できるようにさせる」より「できる条件を作る」を重視します

見られているとできない子に必要なのは、
気合いや説得ではありません。

むしろ、

  • 注目を減らす
  • 一対一にする
  • 先に見本を見せて終わりを示す
  • 視線が集まらない位置を使う
  • 言葉を減らす
  • できた瞬間に過剰に注目しない

といった調整の方が重要なことがあります。

つまり、
支援は本人を押して通すことではなく、
その子が本来の力を出せる条件を作ること
です。

ふきのこの支援観では、「できない」より「条件が重い」を疑います

ふきのこの支援観シリーズでは、
表面的な結果だけで子どもを判断しないことを大切にしています。

見られているとできない子もその一つです。

止まっている時に見るのは、
意欲の有無ではありません。

その子にとって、
今この場の何が重いのか。
何を減らせば少し動けるのか。
どこまでなら通れるのか。

そこを見ます。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
見られているとできない子を、
やる気がない子としては見ません。

そうではなく、

  • 何の注目が重いのか
  • どの場面で止まりやすいのか
  • どんな条件なら力が出るのか
  • 何を減らせば入りやすくなるのか
  • どこまでなら安心して通れるのか

を見ます。

大切なのは、
その子を押して通すことではなく、
その子が自分の力を出せる条件を一緒に整えること
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

ふきのこが「見られているとできない子」をやる気の問題と見ないのは、
止まっている背景に、
注目の負荷、要求の重さ、失敗への不安、安心の不足が隠れていることが多いからです。

大切なのは、
「できるのにやらない」と見ることではなく、
どんな条件ならその子の力が出やすくなるのかを丁寧に見ること
です。

その視点があると、
支援は押し込みではなく、
その子の力を引き出せる環境づくりへ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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