
▶ 強度行動障害の支援方法
【ケーススタディ】
本記事では、児童発達支援で見られた「送迎車から降りないパニック」について、
前兆・背景・支援の判断・結果を整理したケーススタディを紹介します。
※個人が特定されないよう一部情報は抽象化しています。
送迎車から降りないパニック|到着後に車内に留まる未就学児のケース
児童発達支援では、送迎車で施設に到着したにも関わらず、
車から降りることを強く拒否するケースがあります。
一見すると「車から降りたくない」という単純な拒否のように見えますが、
実際には環境変化・活動予測・不安など複数の要因が重なっていることが多いです。
強度行動障害の基本的な支援の考え方については
強度行動障害の支援方法
でも解説しています。
児童の基本情報
- 年齢:4歳
- 診断:自閉スペクトラム症
- 知的特性:中度知的障害
- 言語:単語レベル
- 特性:新しい活動への不安が強い
支援歴
児童発達支援の利用開始から約4か月。
活動中は比較的落ち着いて参加できるが、
送迎車で施設に到着した後、
- 車から降りない
- シートにしがみつく
- 泣く
といった行動が見られることがあった。
環境条件
この日は朝の送迎時間帯で、
複数の児童が同時に施設へ到着していた。
玄関周辺では
- 支援者の声掛け
- 靴の着脱
- 児童の出入り
など活動開始の準備が進んでいた。
ケース(何が起きたか)
送迎車が施設前に到着し、
支援者がドアを開けて降車を促した。
他の児童は順番に降りていったが、
対象児はシートを握ったまま動かなかった。
その後、
- 身体を後ろへ引く
- 支援者の手を避ける
- 「いや」と叫ぶ
といった行動が見られた。
支援者が抱き上げようとすると、
身体を強く反らし泣き始め、
パニック状態となった。
前兆(行動前の変化)
- 施設を見た瞬間に視線が止まる
- シートベルトを外そうとしない
- 身体が固まる
- 支援者の声掛けへの反応が弱い
これらは環境変化に対する不安が高まっているサインと考えられる。
ABC分析
A(Antecedent)
- 施設へ到着
- 車から降りる必要がある
- 新しい活動が始まる
B(Behavior)
- 降車拒否
- シートにしがみつく
- 泣く
C(Consequence)
- 降車が遅れる
- 支援者の注意が集中する
分析
このケースでは、単純な拒否ではなく
次の要因が重なっている可能性がある。
- 環境変化への不安
- 活動開始への抵抗
- 予測できない状況
ASDの子どもは、
- 新しい場所
- 活動開始
- 環境の変化
といった状況で強い不安を感じることがある。
今回のケースでは、
車 → 施設
という環境変化が
パニックの引き金となった可能性が高い。
支援の選択肢
- 無理に降ろす
- 叱責する
- 落ち着くまで待つ
支援の判断
強く身体を動かすと
パニックが拡大する可能性があるため、
刺激を減らし落ち着くのを待つ
という対応を選択した。
実施した支援
- 周囲の児童を先に入室させる
- 車内の刺激を減らす
- 短い声掛けのみ行う
結果
数分後、泣き声は徐々に小さくなり、
対象児は自分で車から降りることができた。
その後、支援者と一緒に施設へ入ることができた。
再発予防
- 到着前の予告
- 視覚スケジュール提示
- 入室手順の固定
このケースから見える支援の視点
- 送迎場面は環境変化が多い
- パニックには前兆がある
- 見通し提示が予防につながる
関連リンク
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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