
▶ 強度行動障害の支援方法
ふきのこがケース会議で「起きた後」より「起きる前」を確認する理由
支援の現場でケース会議をすると、
どうしても中心になりやすいのは
「何が起きたか」です。
たとえば、
- 今日は他害があった
- 活動中に飛び出しがあった
- 物を投げた
- トイレ誘導で崩れた
- 帰り際に大きく荒れた
こうした出来事は目立ちますし、
共有もしやすいです。
実際、安全や運営の面でも、まず確認が必要な情報です。
ですが、ふきのこでは、ケース会議を「起きたことの報告会」で終わらせません。
なぜなら、
起きた後の出来事だけを並べても、
その子の支援は深まりにくいからです。
本当に大事なのは、
「何が起きたか」より前に、
その前に何が積み重なっていたのか、どこで流れが変わったのか、何を見落としたのか
を確認することです。
つまり、ふきのこのケース会議は、
結果を共有する場である前に、
崩れに向かう流れを読み直す場
です。
「起きた後」だけを見ていると、会議は対処法の寄せ集めになりやすい
ケース会議で
起きた出来事だけを中心にすると、
話はどうしても
「次はどう止めるか」
「どう対応するか」
に寄りやすくなります。
たとえば、
- 叩いた時はすぐ離す
- 飛び出したら前に立つ
- 投げそうなら手元を減らす
- 大声が出たら別室へ誘導する
こうしたことは必要です。
でも、それだけだと
毎回「起きた後の処理」を増やしていく会議になりやすいです。
すると支援は、
安全確保の工夫は増えるけれど、
なぜその子がそこまで上がったのか、
どこで戻れなくなったのか、
そもそも前兆はなかったのか、
といった核心に届きにくくなります。
結果として、
会議はしているのに、
支援が少しずつ重くなるだけで、
根本の流れが変わらないことがあります。
ふきのこが会議で先に確認するのは「その前に何があったか」
ふきのこでは、
ケース会議で大きな出来事を扱う時、
まず「何が起きたか」を共有したあと、
すぐにその前へ戻ります。
確認するのは、たとえばこういうことです。
- その前の表情はどうだったか
- 急に静かになっていなかったか
- 逆に不自然にふざけていなかったか
- 支援者の声かけは増えていなかったか
- 感覚的にきつい刺激はなかったか
- 身体不快や排泄前サインはなかったか
- 見通しが切れる場面はなかったか
- 集団の空気が変わった瞬間はなかったか
つまり、
爆発の場面だけを切り取らず、
その子が崩れに向かった流れ全体
を見直します。
ここをやらないと、
会議をしても
「また同じことが起きた」
の繰り返しになりやすいです。
「起きる前」を見ると、支援の修正点が変わってくる
大きな崩れだけを見ると、
修正点はどうしても
「起きた後の対応」に集まりやすいです。
でも、起きる前まで含めて見ると、
修正点はかなり変わります。
たとえば、
- 止め方ではなく、声かけの量が多すぎたのかもしれない
- 離すタイミングではなく、離席前の前兆を見逃していたのかもしれない
- 他害対応ではなく、他児の泣き声で先に上がっていたのかもしれない
- 飛び出し対応ではなく、終了見通しの弱さが先にあったのかもしれない
こうなると、支援は
「起きた後にどう押さえるか」から、
起きる前にどこを変えるか
へ動きます。
これが、ふきのこがケース会議で
「起きる前」を確認する大きな理由です。
前兆が会議に上がらないと、支援者ごとの感覚で終わりやすい
もう一つ大事なのは、
前兆を会議で共有しないと、
支援が支援者個人の感覚に依存しやすくなることです。
ある支援者は
「今日は危ない感じがした」
と思っていても、
別の支援者は
「特に変わらなかった」
と感じていることがあります。
これは悪いことではなく、
前兆がまだ言語化されていないだけです。
でも、そのままだと
- 分かる人だけが分かる
- 新人には伝わらない
- 支援者が変わると崩れやすい
- 同じ子なのに対応が揃わない
ということが起きます。
だから、ふきのこでは会議の中で、
「危なかった感じ」を
そのまま感覚で終わらせず、
どんな表情だったか、
どんな動きだったか、
どんな空気の変化があったか、
まで落としていきます。
つまり、
前兆を共有することは、
支援者個人の勘を、
チームで再現できる見立て
に変える作業でもあります。
児童発達支援・放課後等デイサービスの会議は、報告中心になりやすい
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
日々の業務が忙しいので、
会議もどうしても
「事実確認」と「共有」に寄りやすくなります。
たとえば、
- 今日は何があったか
- 事故やヒヤリはあったか
- 保護者への伝達はどうするか
- 次回の注意点は何か
こうした会議はもちろん必要です。
でも、それだけでは
支援は深まりません。
なぜなら、
それは出来事の整理ではあっても、
見立ての更新にはなりにくいからです。
ふきのこでは、
会議を「記録確認の場」にせず、
見立てを一段深くする場
にしたいと考えています。
支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計
「起きた後」を共有するだけでは、子どものしんどさの構造は見えてこない
たとえば、
「今日は叩きました」
という情報だけでは、
本質はかなり分かりません。
その前に、
急に静かになっていたのかもしれない。
逆に、急にふざけていたのかもしれない。
排尿前でイライラが強かったのかもしれない。
特定の子の声で先に上がっていたのかもしれない。
つまり、
結果だけでは、
その行動の意味はほとんど見えていません。
でも会議で
「その前に何があったか」
まで共有されると、
同じ叩くでも、
- 防衛だったのか
- 限界の爆発だったのか
- 身体不快が背景だったのか
- 関わり方の重さで押し込まれたのか
が少しずつ見えてきます。
これがないと、
叩いたという事実だけが独り歩きし、
子どもは「叩く子」としてだけ共有されやすくなります。
ふきのこのケース会議は、「誰が悪かったか」を探す場ではない
ケース会議で前兆や流れを見る時、
大事なのは
責任探しにしないことです。
「あの時の対応が悪かった」
「気づけなかったのが問題だった」
という会議になると、
支援者は守りに入ります。
そうなると、
本当に見たいはずの
微妙なズレや迷いが出てきにくくなります。
ふきのこでは、
ケース会議を
誰かを責める場にはしません。
そうではなく、
- どこで流れが変わったか
- 何が重なったか
- どの段階なら戻れたか
- 次に早く拾えるサインは何か
を、一緒に確認する場にします。
それによって、
支援者は失敗を隠すのではなく、
見立てを深める材料として出しやすくなります。
ふきのこの支援観では、会議も「起きた後の整理」ではなく「起きる前の理解」を深める場です
ふきのこの支援観シリーズでは、
支援そのものだけでなく、
会議や共有の持ち方も重視しています。
なぜなら、
どれだけ良い支援者がいても、
チームで見立てが深まらなければ、
支援は個人技のままだからです。
ケース会議で
起きた後だけを追うのではなく、
起きる前を確認する。
この習慣があると、
支援は徐々に
「その場しのぎ」から
「崩れに向かう流れを理解して支えること」
へ変わっていきます。
支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観
ふきのこで大切にしていること
ふきのこでは、
ケース会議を
起きた出来事の報告だけで終わらせません。
そうではなく、
- その前に何が起きていたか
- どこで流れが変わったか
- 何が前兆として出ていたか
- どこなら支援を切り替えられたか
- 次にチームで何を共有するべきか
を確認します。
大切なのは、
起きたことを整理するだけではなく、
次に崩れを早く拾えるチームになること
です。
ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて
まとめ
ふきのこがケース会議で「起きた後」より「起きる前」を確認するのは、
結果だけを並べても、その子が崩れに向かった流れや支援の修正点は見えにくいからです。
大切なのは、
何が起きたかだけではなく、
その前にどんな前兆があり、どこで支援を切り替えられたかをチームで確認すること
です。
その視点があると、
会議は報告の場から、
見立てを深めて支援の質を上げる場へ変わっていきます。
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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