
▶ 強度行動障害の支援方法
誤学習ケース㉖|問題行動が起きた瞬間に支援が始まる構造
強度行動障害の支援では、
問題行動が起きた後に支援が始まる場面が多く見られます。
しかしこの構造は、結果として
問題行動を強化してしまう
ことがあります。
つまり
行動が支援のスイッチになってしまう
という誤学習です。
問題行動の基本構造については
問題行動はなぜ起きるのか|トリガー→前兆→行動→誤学習の構造
でも詳しく解説しています。
現場で起きていた状況
対象となる児童は小学4年生。
自閉スペクトラム症と知的障害があり、
強度行動障害の特性が見られる子どもでした。
活動の切り替え場面で、次のような行動が見られていました。
- 机を叩く
- 椅子を蹴る
- 床に寝転ぶ
行動が起きると、支援者はすぐに近づき、
- 声をかける
- 状況を説明する
- 落ち着かせようとする
という支援が行われていました。
一見すると適切な支援に見えます。
しかし観察を続けると、
ある構造が見えてきました。
問題行動が支援を呼び出している
このケースでは、
次のような行動連鎖が形成されていました。
活動終了
↓
机を叩く
↓
支援者が来る
↓
説明が始まる
つまり
行動すると支援が始まる
という学習です。
これは行動分析でいう
ABC分析
で説明することができます。
ABC分析で見る構造
- A(Antecedent) 前の状況:活動終了
- B(Behavior) 行動:机を叩く
- C(Consequence) 結果:支援者が来る
この構造が繰り返されると、
子どもは次のように学習します。
叩く → 支援者が来る
つまり問題行動が
支援を呼び出す行動
になってしまいます。
似た構造は
誤学習ケース③|叩くと先生が来る学習
でも見られます。
なぜこの構造が起きるのか
この誤学習は、
支援者の善意から生まれることが多いです。
支援者は
- 困っている子どもを助けたい
- 危険な行動を止めたい
- 落ち着かせたい
と考え、すぐに関わろうとします。
しかし結果として
行動 → 支援開始
というパターンが固定してしまいます。
これは
誤学習ケース⑧|声掛け過多のケース
とも関連する問題です。
行動連鎖(Behavior Chain)
このケースでは、
行動が単独で起きているのではなく、
行動連鎖
として形成されています。
行動連鎖とは
- 一つの行動が
- 次の結果を生み
- その結果が次の行動を強化する
という構造です。
今回のケースでは
行動 → 支援 → 注目 → 行動強化
という連鎖が形成されていました。
問題は行動ではなく構造
重要なのは、
問題は子どもの行動ではなく
支援の構造
にあるという点です。
もし支援が
行動の前に始まる
のであれば、
この誤学習は起きません。
そのためには
- 前兆を観察する
- トリガーを理解する
- 環境調整を行う
ことが重要になります。
前兆については
強度行動障害の前兆サイン20
も参考になります。
まとめ
問題行動の支援では、
行動が起きてから関わる
という構造になりやすくなります。
しかしその結果、
- 行動が支援を呼ぶ
- 支援が行動を強化する
- 問題行動が固定する
という誤学習が形成されることがあります。
強度行動障害の支援では、
行動だけを見るのではなく、
支援のタイミング
を分析することが重要です。
誤学習の全体構造については
強度行動障害で起きる誤学習8パターン
の記事も参考にしてください。
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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