
▶ 強度行動障害の支援方法
【ケーススタディ】
本記事では、児童発達支援で見られたパニック行動について、前兆・背景・支援判断・結果を整理したケーススタディを紹介します。
※個人が特定されないよう一部情報は調整しています。
床に寝転がるパニック|未就学児のケース(児童発達支援)
この記事では、児童発達支援で見られた床に寝転がるパニック行動について、
強度行動障害の支援方法
の視点から行動の背景と支援判断を整理します。
児童の基本情報(個人特定を避けた概要)
- 年齢:5歳(未就学)
- 診断:自閉スペクトラム症
- 知的特性:中度知的障害
- 言語:単語レベルの発語
- 感覚特性:環境変化への不安が強い
- 行動特性:活動終了や切り替え場面でパニックが起きやすい
支援歴
児童発達支援の利用開始から約6か月。
活動自体には参加できるが、活動の終了や切り替えの場面で
- 泣く
- 床に寝転がる
- 身体を反らす
といったパニック行動が見られることがあった。
環境条件
この日は自由遊びの時間で、ブロック遊びをしていた。
活動時間の終了が近づき、支援者が
「お片付けの時間です」と声をかけた。
周囲の児童は少しずつ片付けを始めていた。
ケース(何が起きたか)
対象児はブロックを触り続けていたが、
支援者が近づき片付けを促した瞬間、
突然大きな声で泣き始めた。
その後すぐに床へ寝転がり、
身体を反らせながら足をバタバタさせる行動が見られた。
支援者が起き上がらせようとすると、
さらに身体を硬くし、泣き声も大きくなった。
前兆(行動前の変化)
パニックの直前には次の変化が見られていた。
- ブロックを握りしめる
- 支援者の声かけに反応しない
- 表情が硬くなる
- 周囲の様子を何度も見る
これらは不安や抵抗感が高まり始めている際に見られることがある変化である。
行動分析(ABC分析)
A(Antecedent:きっかけ)
- 遊びが終了するタイミング
- 支援者が片付けを促す
- 好きな活動が中断される
B(Behavior:行動)
- 泣く
- 床に寝転がる
- 身体を反らす
C(Consequence:結果)
- 活動終了が一時的に止まる
- 支援者が対応に集中する
- 片付けが遅れる
分析(なぜ行動が起きたのか)
このケースでは、
活動の切り替えに対する強い抵抗
が背景にある可能性が高い。
自閉スペクトラム症の子どもは、
- 予測できない変化
- 活動の終了
- 予定変更
に対して強い不安を感じることがある。
今回のケースでは、
「遊びが終わる」という状況を受け入れることが難しく、
そのストレスが床に寝転がるパニックとして表出した可能性がある。
支援の選択肢
- すぐに起き上がらせる
- 叱責する
- 無理に片付けさせる
- 一度落ち着くのを待つ
- 見通しを提示する
支援の判断理由
強く起き上がらせると、
身体的な抵抗が強くなり、
パニックが拡大する可能性がある。
そのためこの場面では、
身体状態を落ち着かせること
を優先することにした。
実施した支援
- 周囲の児童を離す
- 刺激の少ない環境を作る
- 短い言葉で次の活動を提示する
結果
数分後、泣き声は徐々に小さくなり、
対象児は自分で起き上がることができた。
その後、支援者と一緒に片付けへ参加することができた。
再発予防(次回対応)
今後は活動終了の前に
- 「あと5分」などの予告
- 視覚的なスケジュール提示
を行い、活動終了の見通しを持てるよう支援する。
このケースから見える支援の視点
- パニックは突然ではなく前兆がある
- 活動切り替えは大きなストレス要因になる
- 見通し提示が予防につながる
関連リンク
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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