抱き止めるべきか迷ったケース|パニック時の介入判断が問われた支援事例

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

叱ると悪化するケース|強度行動障害の子どもに起きたパニックの実例

強度行動障害のある子どもの支援では、「叱る」という関わりが状況を改善するどころか、 行動をさらに激しくしてしまう場面があります。支援者としては危険を止めたい、 ルールを伝えたいという思いから注意や叱責を行うことがありますが、 その関わりが結果としてパニックを拡大させてしまうケースも少なくありません。

強度行動障害の基本的な支援の考え方については、 強度行動障害の支援方法 でも詳しく解説しています。

現場で起きた状況

その日は放課後の活動時間で、子どもたちはそれぞれ好きな遊びをして過ごしていました。 対象となる児童は小学校4年生で、強度行動障害の特性があり、 感覚過敏や環境変化への敏感さが見られる子どもでした。

その日はレゴブロックを使って一人で遊んでいましたが、 近くで遊んでいた別の子どもが大きな声を出したことをきっかけに、 表情が硬くなり、動きが止まる様子が見られました。

しばらくすると、持っていたブロックを床に強く投げる行動が見られました。

支援者の一人が近づき、 「投げたら危ないよ」「やめようね」と声をかけました。

しかし、この時点では児童はまだ強いパニック状態ではなく、 ブロックを握りしめながら床を見ている状態でした。

ところが支援者が続けて 「ダメだよ」「投げないよ」と声をかけた瞬間、 児童の様子が大きく変化しました。

パニックの急激な拡大

児童は突然大きな声を上げ、床にあったブロックを連続して投げ始めました。

さらに机を叩き、椅子を倒す行動が見られ、 周囲の子どもたちも驚いて距離を取る状況になりました。

その後、児童は床に伏せるような姿勢になりながら 「うあああ」と大きな声を出し続け、 完全なパニック状態に入りました。

この状態になると、言葉による指示はほとんど届かず、 身体を強く動かす行動も見られました。

結果として、落ち着くまでには10分以上の時間がかかりました。

観察から見えたこと

このケースを振り返ると、 パニックの直接的なきっかけは 「ブロックを投げた行動」ではなく、 その後の叱責や注意の声かけであった可能性が考えられます。

もともと児童は、周囲の大きな声によって 感覚的な負荷が高まっていたと考えられます。

その状態で支援者が近づき、 注意の言葉を繰り返したことで、 さらに刺激が重なり、 結果としてパニックが拡大した可能性があります。

強度行動障害のある子どもの行動は、 単なる問題行動として捉えるのではなく、 行動の背景や刺激の影響を分析することが重要です。

こうした行動の理解については、 強度行動障害の支援方法 でも詳しく解説しています。

支援現場で考えたい視点

もちろん、危険な行動を放置することはできません。

しかし現場では、

  • すぐに言葉で止めるべきか
  • 一度距離を取るべきか
  • 刺激を減らすことを優先すべきか

といった判断が求められます。

このケースでは、 最初のブロック投げの段階では まだパニック状態ではありませんでした。

その段階で支援者が距離を取り、 刺激を減らす環境調整を優先していれば、 パニックの拡大は防げた可能性も考えられます。

支援は「止める」だけではない

支援現場では、行動を止めることに意識が向きがちです。

しかし強度行動障害の支援では、

  • 刺激を減らす
  • 環境を整える
  • 状態が落ち着くのを待つ

といった関わりが重要になる場面も多くあります。

ふきのこの支援の考え方については、 ふきのこについて でも紹介しています。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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