ふきのこが支援記録で「何が起きたか」だけでなく「その前」を残す理由

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

ふきのこが支援記録で「何が起きたか」だけでなく「その前」を残す理由

支援記録を書く時、
どうしても中心になりやすいのは
「何が起きたか」です。

たとえば、

  • 他害があった
  • 物を投げた
  • 活動から離れた
  • 大声が出た
  • トイレ誘導で崩れた

こうした出来事は、記録として残しやすいです。
目に見えますし、
事実として書きやすいからです。

もちろん、それ自体は必要です。
実際に何が起きたかを記録することは、
安全管理の面でも、
保護者共有の面でも、
支援の継続の面でも大切です。

ですが、ふきのこでは、「何が起きたか」だけを書いて支援記録を終わらせることはしません。

なぜなら、
起きたことだけを並べても、
その子に何が起きていたのか、
なぜそこまで行ったのか、
次にどこで支援を変えればいいのかが見えにくいからです。

だから、ふきのこでは、
出来事そのものと同じくらい、
その前に何があったか
を記録に残すことを大切にしています。

「何が起きたか」だけの記録は、事実としては正しくても、支援としては浅くなりやすい

支援記録に
「他害がありました」
「物を投げました」
「活動から離れました」
と書くことは、
間違いではありません。

でも、それだけだと、
記録は
出来事の一覧
で終わりやすくなります。

たとえば、
「活動中に他害があった」
という記録だけでは、
その子が

  • 急に静かになっていたのか
  • 逆に急にふざけ始めていたのか
  • 特定の子の声で上がっていたのか
  • 排泄前で身体不快があったのか
  • 支援者の声かけが増えていたのか

が見えません。

つまり、
結果だけを書いた記録は、
安全管理には使えても、
見立てを深める材料としては足りない
ことが多いのです。

ふきのこが記録で重視するのは、「行動」ではなく「流れ」です

ふきのこでは、
支援記録を
「起きたことの報告」
としてだけは扱いません。

それよりも、

  • その前に何があったか
  • どこで空気が変わったか
  • どんな表情や動きの変化があったか
  • 支援者が何を足し、何を引いたか
  • どこなら戻れたか
  • 何が重なって崩れに向かったか

を残そうとします。

つまり、
点ではなく流れです。

子どもの崩れや困りごとは、
一瞬の出来事として起きているように見えても、
実際にはその前の積み重なりがあります。

だから、
支援記録も
「起きた瞬間」だけではなく、
そこへ向かった流れごと残す
必要があります。

なぜ「その前」を記録することが大事なのか

1. 前兆が見えてくるから

子どもの崩れは、
いきなり見える爆発だけではありません。

その前に、

  • 表情が固くなる
  • 視線が止まる
  • 急に静かになる
  • 急にふざけ始める
  • そわそわが増える
  • 同じ物を触り続ける

といった変化が出ていることがあります。

でも、それを記録に残さないと、
毎回「急に崩れた」で終わります。

前兆が残るようになると、
その子に特有の崩れ前サインが少しずつ見えてきます。

2. 支援の修正点が見えるから

結果だけを見ると、
支援の修正も
「崩れた後の対応」に寄りやすくなります。

でも、その前まで記録すると、

  • 声かけが多すぎたのではないか
  • 終わりの見通しが弱かったのではないか
  • 人が多すぎたのではないか
  • 排泄前サインを見落としていたのではないか

といった、
起きる前の修正点が見えてきます。

つまり、
その前を残すことで、
支援は
「起きた後どうするか」から
「起きる前に何を変えるか」
へ進みやすくなります。

3. 支援者間で見立てを共有しやすくなるから

記録に結果しか残らないと、
支援者同士の共有も浅くなります。

「今日は叩いた」
「今日は離席した」
だけでは、
読む側は出来事しか分かりません。

でも、
その前の表情、
視線、
動き、
空気の変化、
支援者の関わりが残ると、
別の支援者も
「この子はこういう流れで上がりやすいのか」
と理解しやすくなります。

これはかなり大きいです。

記録は個人メモではなく、
チームで支援を再現するための材料でもあるからです。

4. 保護者への共有が“結果報告”で終わらなくなるから

保護者に
「今日は大声がありました」
「今日は離席がありました」
とだけ伝えると、
保護者は結果しか受け取れません。

でも、
その前の流れまで見えていると、

  • どういう時に上がりやすいのか
  • どんな前兆があったのか
  • 何をすると少し戻りやすかったのか

まで共有できます。

すると、保護者は
「今日も荒れました」
ではなく、
「こういう流れだったのか」
として受け取りやすくなります。

これは支援の信頼感にも大きく関わります。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、「その前」が省略されやすい

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
日々の記録量が多く、
業務も詰まっています。

だからどうしても、

  • 起きたこと
  • 対応したこと
  • 結果

を短くまとめる形になりやすいです。

これは現場としては自然です。

でも、その形だけで回していると、
記録は毎回似た内容になります。

「また離席」
「また他害」
「また大声」

これでは、
子どもの変化も、
支援の積み上がりも見えにくいです。

ふきのこでは、
記録をただの業務処理にしたくありません。

むしろ、
記録こそが
支援の見立てを育てる場所
だと考えています。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

「その前」が残る記録は、子どもを“問題”ではなく“流れ”で見る記録です

結果だけが残る記録は、
どうしても子どもを
「叩く子」
「離席する子」
「荒れる子」
として固定しやすくなります。

でも、
その前が残ると、
見え方が変わります。

たとえば、

  • 急な静けさのあとに崩れた子
  • 急なふざけのあとに上がった子
  • 排尿前のイライラがあった子
  • 終わりの見通しで苦しくなった子
  • 声かけが重くなっていた子

というふうに、
行動そのものではなく、
その子の流れとして見えてきます。

これはかなり大きな違いです。

支援は、
結果だけを見るほど重くなりやすく、
流れで見るほど調整しやすくなるからです。

ふきのこの支援観では、記録も「支援そのもの」の一部です

ふきのこの支援観シリーズでは、
支援を
現場での関わりだけで完結するものとは考えていません。

記録、
共有、
会議、
保護者とのやり取り。
これらも全部、支援の一部です。

だから、記録で何を残すかはかなり重要です。

「何が起きたか」だけを残すのか、
「その前に何があったか」まで残すのかで、
次の支援の質は大きく変わります。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
支援記録を
出来事の報告だけで終わらせません。

そうではなく、

  • その前に何が起きていたか
  • どんな前兆があったか
  • どこで流れが変わったか
  • 何が重なって崩れに向かったか
  • 次にどこを早く拾うべきか

を残します。

大切なのは、
結果だけを記録することではなく、
次の支援につながる流れを記録に残すこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

ふきのこが支援記録で「何が起きたか」だけでなく「その前」を残すのは、
結果だけでは、子どものしんどさの流れや支援の修正点が見えにくいからです。

大切なのは、
出来事を並べることではなく、
その子がどんな流れで崩れに向かい、どこで支援を変えられたかを残すこと
です。

その視点があると、
記録は単なる報告ではなく、
支援の見立てを育て、
次の関わりを深くする材料へ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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