
▶ 強度行動障害の支援方法
その行動、読み違えていませんか?|頑張っているように見えて、実は無理している子
子どもの支援をしていると、
「今日は頑張れていました」
「最後まで参加できました」
「いつもよりしっかりできていました」
という場面があります。
こういう時、
大人はつい安心します。
活動に入れた。
崩れずに通せた。
声かけで動けた。
途中で抜けずにいられた。
それ自体は、もちろん大切です。
まったく意味がないわけではありません。
ですが、ふきのこでは、頑張っているように見える子を、そのまま「良い状態」とは見ません。
なぜなら、
子どもによっては、
頑張れていることそのものが、
すでにかなりの無理の上に成り立っていることがあるからです。
外では保てる。
集団では通せる。
見られている場面では何とか崩れない。
でも、その分だけ、
帰宅後に荒れる。
寝る前に崩れる。
翌日に疲れが残る。
こういう子は少なくありません。
つまり、
「頑張っているように見える」のではなく、
今この場を何とか通すために、かなり自分を使っている
だけのことがあります。
だから、この見え方も読み違えやすい。
そして読み違えるほど、
支援はその子の無理を“成長”として積み上げやすくなります。
「頑張れている」は良い言葉ですが、それだけでは危ないことがあります
大人は、子どもの前向きな姿を見ると嬉しくなります。
それは自然です。
今まで難しかったことに入れた。
最後まで席にいられた。
声をかけると少し動けた。
嫌がりながらも通せた。
こうした場面には、
確かに意味があります。
でも、問題はそこから先です。
その頑張りが、
- 安心の中で自然に出たものなのか
- かなり無理をして出たものなのか
- 見られているので抜けられなかっただけなのか
- 支援者の支え込みで成り立っていたのか
を見ないと、
支援の評価を誤りやすくなります。
つまり、
頑張れていること自体は事実でも、
その頑張り方の質を見ないと、
その子にとって本当に良い支援だったかは分かりません。
ふきのこが見ているのは「頑張れたか」ではなく「どう頑張っていたか」です
ふきのこでは、
子どもが頑張れているように見える時ほど、
その中身を見ます。
確認するのは、
- 表情はやわらかいか
- 視線は自然に動いているか
- 少しでも自分からの関心があるか
- 声かけが増えるほど固くなっていないか
- 途中で反応が薄くなっていないか
- 終わったあとに一気に疲れが出ていないか
- 帰宅後や翌日に反動が出ていないか
です。
たとえば、
最後まで座っていても、
表情が固く、
視線が止まり、
終わったあとに急に崩れるなら、
それは「安心して頑張れていた」とは言いにくいです。
逆に、
少し動きはあっても、
自分で戻れた、
支援者とのやり取りが通った、
終わったあとも大きく崩れなかったなら、
その方がその子にとっては良い頑張り方かもしれません。
つまり、
「頑張れたか」より、
その頑張りに無理がなかったか
を見ます。
なぜ子どもは「頑張って見える」のか
1. 見られている場面では、崩れずに保とうとするからです
子どもの中には、
見られていると、
何とかその場を通そうとする子がいます。
集団の中、
先生や支援者の前、
みんなの流れがある場面では、
嫌でも反応を抑えて保つことがあります。
この時、
外から見ると
「頑張っている」
ように見えます。
でも実際には、
安心というより、
抜けられない中で保っているだけかもしれません。
2. 注目や期待があると、無理してでも合わせようとするからです
「やってみよう」
「できそうだね」
「今日は入れてるね」
こうした空気があると、
子どもによっては、
その期待に合わせようとしてかなり無理をすることがあります。
本人は自分の限界より、
その場を壊さないことを優先しているのかもしれません。
3. 家では出せるしんどさを、外では抑えているからです
外では保てる。
でも家でだけ一気に崩れる。
このタイプの子は、
外でかなり頑張っていることがあります。
つまり、
その場で見える「頑張り」は、
本来その場で出したいしんどさを抑えた結果かもしれません。
4. 支援者の手厚い支えで成り立っていることがあるからです
一見、本人が頑張って通しているように見えても、
実際には、
- 支援者が細かくタイミングを合わせている
- 言葉量をかなり調整している
- 刺激を減らしている
- 流れを細かく区切っている
ことがあります。
それ自体は悪いことではありません。
でも、それを見落として
「本人がもう大丈夫」と評価すると、
次の支援が重くなります。
なぜ「頑張っている」をそのまま良いことと読むと危ないのか
1. 無理を“成長”として積み上げやすいからです
頑張れているように見えると、
大人はどうしても前向きに意味づけたくなります。
もちろん、それ自体は悪くありません。
でも、
本当はかなり無理をして通した一回を、
「成長した」
「もういける」
と読んでしまうと、
その子の限界を超えたものまで次の基準になりやすいです。
すると、
支援はその子を支える方向ではなく、
結果を維持させる方向へ寄りやすくなります。
2. 反動や家庭での崩れを見落としやすいからです
その場では頑張れていた。
でも、
- 帰宅後に荒れる
- 食事で止まる
- 入浴前に不安定になる
- 寝る前に張っていたものが切れる
- 翌日に疲れが残る
ということは珍しくありません。
もしそうなら、
その頑張りは、
その場では通っても、
一日全体で見るとかなり重かったのかもしれません。
その場だけ見て「良かった」で終わると、
支援の評価を誤ります。
3. 次も同じように求めてしまいやすいからです
一度頑張れた姿を見ると、
大人は次も同じようにできると思いやすくなります。
でも、本人の中では、
前回はぎりぎりで通しただけかもしれません。
そこを見ずに
「前もできたから今回も」
と進めると、
前回より早く崩れたり、
さらに強い拒否が出たりすることがあります。
4. 本人の“できなかった時”が後退に見えやすくなるからです
一度頑張れていたことを基準にすると、
次に止まった時、
どうしても
「今日は調子が悪いのかな」
「なんで今日は入れないのかな」
と見やすくなります。
でも実際には、
前回が無理の上に成り立っていたなら、
今回はむしろ自然な反応かもしれません。
ここを読み違えると、
子どもは
「できた時の自分」を基準に苦しくなりやすくなります。
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、「頑張れている姿」が高く評価されやすいです
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
どうしても
見えやすい前向きな変化が評価されやすいです。
それは自然です。
支援者も保護者も、
少しでもできたところを見つけたいからです。
でも、その一方で、
頑張れている姿の中にある無理が見えにくくなることがあります。
特に、
- 集団でだけ頑張れる子
- 見られていると保てる子
- 外でだけ反応を抑える子
- 家で反動が出る子
では、
「頑張れていた」の評価だけでは不十分です。
だから、ふきのこでは
頑張れているように見えた時ほど、
その支え方と反動を見ます。
支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計
ふきのこでは、「頑張れる子」ではなく「無理なく保てる子」を目指します
ふきのこが本当に大切にしているのは、
無理して通せることではありません。
その子が、
- 少し安心して入れること
- 過剰に張らずに保てること
- 終わった後に大きく崩れないこと
- 家庭まで含めて生活が回ること
です。
つまり、
「頑張れる子」にすることより、
無理なく保ちやすい条件を整えること
を目指します。
この視点がないと、
支援は頑張らせる方向へ寄りやすくなります。
ふきのこの支援観では、「頑張り」に見えるものほど丁寧に読みます
このシリーズでは、
表面に見えている行動と、
実際に内側で起きていることがズレる場面を扱っています。
「頑張っているように見える」も、その代表の一つです。
頑張れているから良い、
通せたから成長、
最後までいたから成功。
こうした読み方は、
時に子どもの無理を見えなくします。
だから、ふきのこでは
頑張って見える時ほど、
本当に安心があるのか、
無理が重なっていないか、
その後に反動がないかを見ます。
支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観
ふきのこで大切にしていること
ふきのこでは、
頑張っているように見える子を、
そのまま良い状態とは見ません。
そうではなく、
- その頑張りに無理はないか
- 見られていることで張っていないか
- 支え込みで成り立っていないか
- 終わった後に反動が出ていないか
- どうすれば無理なく保てるか
を見ます。
大切なのは、
頑張れていることを評価することだけではなく、
その頑張りがその子にとって安全で、持続できる形かどうかを読み違えないこと
です。
ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて
まとめ
頑張っているように見えて、実は無理している子がいます。
活動に入れていること、
最後まで通せていること、
崩れずに保てていることは、
必ずしも安心して過ごせていることを意味しません。
大切なのは、
「頑張れている」と早く評価することではなく、
その頑張りの中に無理がないか、反動がないか、本当にその子を支えている形かを丁寧に見ること
です。
その視点があると、
支援は頑張らせるものではなく、
その子が無理なく保てる条件を少しずつ整えていくものへ変わっていきます。
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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