その行動、読み違えていませんか?|褒められて落ち着いているように見えて、実は緊張が上がっている子

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

その行動、読み違えていませんか?|褒められて落ち着いているように見えて、実は緊張が上がっている子

子どもの支援では、
「褒めることが大事」
と言われることがよくあります。

実際、
できたことを認めること、
頑張りを受け取ること、
安心できる関係の中で前向きな経験を積むことは、
とても大切です。

だから、
子どもが何かを通せた時、
うまく切り替えられた時、
活動に入れた時に、
支援者が褒めるのは自然な流れです。

ですが、ふきのこでは、褒められたあとに静かに見える子を、そのまま「安心して受け取れている」とは見ません。

なぜなら、
子どもによっては、
褒められることそのものが、
安心ではなく負荷になることがあるからです。

褒められたあとに一見おとなしくなる。
静かになる。
止まる。
表情が固くなる。
次の動きが減る。

こうしたことは、
外から見ると
「落ち着いた」
「受け止められている」
ように見えることがあります。

でも実際には、
注目が集まったことで緊張が上がり、反応が固くなっている
だけのことがあります。

つまり、
「褒められて落ち着いているように見える」のではなく、
内側ではむしろ負荷が上がっていることがあります。

褒めること自体は悪くありません。でも、褒めが重く入る子がいます

まずはっきりさせたいのは、
ふきのこが褒めること自体を否定したいわけではない、ということです。

褒めることが支えになる子はいます。
短い承認で安心する子もいます。
受け取って次につながる子もいます。

でも一方で、
同じ褒め言葉でも、

  • 注目が集まる感じが重い子
  • 期待をかけられると苦しくなる子
  • 見られると固まりやすい子
  • ぎりぎりで通していた子
  • 感情が上がりやすい子

では、
その褒めが安心ではなく、
緊張や圧として入ることがあります。

つまり、
「褒める」は一般論として良い関わりに見えても、
その子にどう入ったか
を見なければ、支援としては粗くなります。

ふきのこが見ているのは「褒めたかどうか」ではなく「褒めがどう作用したか」です

ふきのこでは、
子どもを褒めたあと、
それで良い関わりができたとすぐに判断しません。

それよりも、

  • 表情はやわらいだか、それとも固くなったか
  • 視線は自然か、それとも止まったか
  • 次の行動につながったか、それとも止まったか
  • 落ち着いたのか、それとも反応が減っただけか
  • その後に上がりすぎたり反動が出たりしないか

を見ます。

つまり、
褒めること自体を評価するのではなく、
その褒めがその子を支えたのか、緊張を上げたのか
を見ます。

ここを見ないと、
一般には良いとされる関わりをしているつもりで、
実際にはその子を苦しくしていることがあります。

なぜ褒められると緊張が上がるのか

1. 注目が一気に集まるからです

褒めるということは、
その子に注意を向けることでもあります。

「できたね」
「すごいね」
「頑張ったね」

これらは温かい言葉ですが、
注目に弱い子にとっては、
その瞬間に視線や期待が集まる感じが強くなります。

すると、
安心より先に
「見られている」
「次も何か求められる」
という緊張が上がることがあります。

2. 褒めが「次もやるべきこと」に変わるからです

子どもによっては、
褒められたことを、
ただの承認ではなく
「これを続けなければいけない」
という要求として受け取ることがあります。

特に、
ぎりぎりで通していた場面では、
褒めが安心ではなく、
次も同じようにできる自分でいなければならない、
という圧になることがあります。

3. うまくやれた一回に意味が乗りすぎるからです

その場では通った。
だから褒められた。

でも、その一回が
本人の中でかなり無理の上に成り立っていたなら、
そこに強く意味を乗せられること自体が重くなります。

つまり、
褒められることで
「たまたま通せた一回」が
「次からも求められる基準」に変わりやすいのです。

4. 感情が上がりやすい子では、褒めが刺激になりすぎるからです

子どもの中には、
否定的な関わりだけでなく、
肯定的な関わりでも感情が大きく動く子がいます。

そういう子では、
褒めることで
嬉しさだけでなく興奮も上がり、
結果として不安定になることがあります。

静かになったように見えても、
それは落ち着きではなく、
上がりすぎて一瞬止まっているだけかもしれません。

なぜ「褒めて落ち着いた」で終わると危ないのか

1. 緊張や固まりを安心と誤読しやすいからです

褒めたあとに静かになると、
大人はつい
「受け取れている」
「落ち着いた」
と見やすくなります。

でも実際には、
緊張が上がって反応が止まっているだけかもしれません。

ここを見誤ると、
その子にとって重い関わりを
「うまくいった関わり」として積み重ねやすくなります。

2. その子に合わない承認の仕方を続けやすいからです

褒めたあと静かに見えた、
だからこのやり方でいい、
と判断すると、
その子にとっては重い関わり方が繰り返されやすくなります。

本当は、
その場では大きく褒めない方がいいのかもしれない。
終わったあとに静かに伝える方がいいのかもしれない。
言葉より表情や距離感の方が入りやすいのかもしれない。

そこを見ないと、
承認の仕方はその子に合わないまま固定されます。

3. その後の不安定さとのつながりを見落としやすいからです

褒めた直後は静かだった。
でも、

  • 少しして急に上がる
  • 活動から外れやすくなる
  • 帰宅後に反動が強い
  • 次の課題で急に入れなくなる

ということはあります。

もしそうなら、
その褒めは安心ではなく、
緊張や圧の引き金だったのかもしれません。

4. 「褒めればいい」で支援が止まりやすいからです

褒めることは、
支援者にとってもやりやすい関わりです。

だからこそ、
何か通った時に
「とりあえず褒める」
で終わりやすい。

でも本当に見たいのは、

  • なぜその場面は通ったのか
  • どこまでが無理のない範囲だったのか
  • その子に合う承認の形は何か
  • 次にどう関わると軽くなるか

です。

褒めること自体が先に立つと、
この見立てが浅くなりやすいです。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、この読み違いが起きやすいです

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
肯定的な関わりが重視されます。

それ自体は大事です。
否定や圧で通すより、
認める関わりの方がいい。
これはその通りです。

でも、その流れの中で、
「褒める」は無条件に良いものとして扱われやすいことがあります。

すると、
褒めたあとに

  • 静かになった
  • 止まった
  • 少し不自然になった

といった小さな変化があっても、
「落ち着いたのかな」で流れやすいです。

ふきのこでは、
そういう小さなズレをかなり大事にします。

なぜなら、
そこにその子固有の受け取り方が出るからです。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

ふきのこでは、「褒める」より「その子に合う承認の形」を探します

ふきのこが大切にしているのは、
褒めるか褒めないかの二択ではありません。

そうではなく、

  • その場では大きく言わない方がいい子
  • 短くさらっと受け取る方がいい子
  • 終わった後に静かに伝える方がいい子
  • 言葉より表情や距離感の方が入りやすい子

など、
その子に合う承認の形
を探します。

つまり、
一般論として「褒めるのが良い」ではなく、
その子にとって支えになる受け取り方は何かを見ます。

ふきのこの支援観では、「良いとされる関わり」ほど丁寧に読みます

このシリーズでは、
表面に見えている行動と、
実際に内側で起きていることがズレる場面を扱っています。

「褒められて落ち着いているように見える」も、その一つです。

一般に良いとされる関わりほど、
私たちは安心してしまいやすいです。

でも本当に大事なのは、
その関わりが
その子にどう入ったかです。

安心になったのか。
緊張になったのか。
次につながったのか。
固まりになったのか。

そこを見て初めて、
その子に合う支え方が見えてきます。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
褒められて落ち着いているように見える子を、
そのまま安心して受け取れている子とは見ません。

そうではなく、

  • その静けさに緊張はないか
  • 注目が重くなっていないか
  • 期待の圧になっていないか
  • 次の動きが止まっていないか
  • その子に合う承認の形は何か

を見ます。

大切なのは、
褒めること自体を正解にすることではなく、
その子にとって本当に支えになる受け取り方を読み違えないこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

褒められて落ち着いているように見えて、実は緊張が上がっている子がいます。

静かになること、
反応が減ること、
その場で止まることは、
必ずしも安心して受け取れていることを意味しません。

大切なのは、
「褒めたら落ち着いた」と早く結論づけることではなく、
その褒めが安心になったのか、緊張になったのかを丁寧に見ること
です。

その視点があると、
支援は一般論どおりに関わるものではなく、
その子に合う承認の形を少しずつ整えていくものへ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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