その行動、読み違えていませんか?|笑っている子を、楽しんでいると見ないために

Mental health
具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

その行動、読み違えていませんか?|笑っている子を、楽しんでいると見ないために

子どもの支援をしていると、
一見楽しそうに見えるのに、
どこか引っかかる笑い方をする子がいます。

たとえば、

  • 他害しながら笑う
  • 注意されても笑っている
  • しんどそうな場面で妙に笑う
  • 緊張が高い場面ほど笑いが増える
  • 困っていそうなのに笑ってごまかす

こうした姿を見ると、
大人はつい
「楽しんでいるのかな」
「悪ふざけかな」
「分かっていてやっているのかな」
と受け取りやすくなります。

もちろん、本当に楽しくて笑っている場面もあります。

ですが、ふきのこでは、笑っている子を、そのまま“楽しんでいる子”とは見ません。

なぜなら、
子どもによっては、
その笑いの中に、
緊張、不安、過覚醒、困り感のごまかし
が隠れていることがあるからです。

つまり、
「楽しいから笑っている」のではなく、
しんどさをそのまま出せず、笑いの形であふれている
ことがあります。

だから、この見え方もかなり読み違えやすい。
そして読み違えるほど、
支援はその子の困り感を
“楽しそうだから大丈夫”
の中に埋めてしまいやすくなります。

笑っていることと、安心していることは同じではありません

大人はどうしても、
笑顔や笑い声を見ると、
前向きな状態だと受け取りやすくなります。

でも実際には、
笑いの中身は一つではありません。

本当に楽しい笑いもあれば、

  • 緊張が高くて出る笑い
  • 困っているのをごまかす笑い
  • 不安が上がって出る笑い
  • 興奮しすぎて出る笑い
  • 場に合わせようとして出る笑い

もあります。

この違いを見ないまま
「笑っているから大丈夫」
と読むと、
本当はかなり大事なサインを、
楽しさとして通り過ぎてしまいます。

ふきのこが見ているのは「笑っているか」ではなく「どんな時に、どんな笑いが出ているか」です

ふきのこでは、
子どもが笑っている時、
笑いそのものだけを切り取って見ません。

それよりも、

  • どの場面で笑いが出ているのか
  • 本当に楽しさとつながっているのか
  • 表情はやわらかいのか、固いのか
  • 視線は自然なのか、落ち着かないのか
  • その後に崩れたり上がりすぎたりしないか
  • 笑いの前に不安や固さがなかったか

を見ます。

つまり、
「笑っていたから楽しい」ではなく、
その笑いが何の上に乗っているのか
を見ます。

ここが見えると、
笑いは安心のサインではなく、
むしろ支援を切り替えるべきサインとして読めることがあります。

なぜ子どもは「楽しそうに笑っているように見える」のか

1. 緊張が高い時に、笑いとして出る子がいるからです

子どもの中には、
不安や緊張が高まると、
泣いたり怒ったりするのではなく、
逆に笑いとして出る子がいます。

この時、
外から見ると
「楽しそう」
に見えることがあります。

でも実際には、
安心ではなく、
緊張が高すぎて笑いの形であふれている
のかもしれません。

2. 困っていることを、そのまま出せないからです

分からない。
しんどい。
困っている。
でも、それを困っている形で出せない子がいます。

そういう子では、
笑ってごまかすような形を取ることがあります。

これは余裕がある笑いではなく、
困り感の表現のずれ
かもしれません。

3. 感情が上がりすぎて、笑いとして出ているからです

子どもの中には、
楽しい時だけでなく、
上がりすぎた時にも笑いが増える子がいます。

この場合、
笑っているからといって落ち着いているわけではありません。

むしろ、
興奮が高まりすぎて、
その後に崩れやすい前段階であることがあります。

4. 場に合わせたり、注目をずらしたりするために笑うことがあるからです

注意を向けられた時、
気まずさがある時、
しんどい流れからずれたい時に、
笑いで場を変えようとする子もいます。

この時の笑いは、
楽しいからではなく、
今の状況をそのまま受けるのが苦しい
のかもしれません。

なぜ「楽しそう」と読むと危ないのか

1. 困り感を見落とすからです

笑っている子は、
困っていないように見られやすいです。

でも実際には、
かなり困っていて、
それが笑いの形でしか出せないことがあります。

ここを見ないと、
必要な支援が届きにくくなります。

2. 他害や崩れ前サインを軽く見やすいからです

笑いながら押す。
笑いながら叩く。
笑いながらルールを崩す。

こうしたものを
「ふざけているだけ」
と読むと、
本当は上がりすぎや緊張のサインなのに、
軽く扱いやすくなります。

すると、
少し前なら切り替えられたものが、
大きな崩れまで進みやすくなります。

3. 注意や制止でさらにずれやすくなるからです

笑っている=余裕がある、
と読んで止めに行くと、
本人の中ではさらに緊張が上がることがあります。

その結果、
笑いが増える、
急に怒る、
一気に崩れる、
ということもあります。

4. 保護者にも「楽しそうだった」で伝わりやすいからです

笑っていた場面は、
報告の中でも前向きに見えやすいです。

でも、
その笑いが本当に安心から来たものかを見ないと、
家庭では
「楽しめていたんだ」と受け取られ、
実際の負荷が共有されないことがあります。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、この読み違いがかなり起きやすいです

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
集団活動や切り替え場面の中で、
子どもの笑いが目立つことがあります。

その中で、
笑っている姿はどうしても
前向きに見えやすいです。

でも、
笑いが多いから安心、
楽しそうだから大丈夫、
とは限りません。

ふきのこでは、
そういう時ほど、
笑いの前後と質を丁寧に見ます。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

ふきのこでは、「笑いを止める」より「何の笑いかを読む」ことを先にします

ふきのこが大切にしているのは、
笑っていること自体をすぐ評価したり否定したりすることではありません。

それよりも、

  • その笑いに安心はあるのか
  • 緊張が上がっていないか
  • 困り感のごまかしではないか
  • その後に崩れや上がりすぎが出ないか
  • 何を減らせば落ち着きやすいか

を見ます。

つまり、
「笑っているから大丈夫」でも
「笑っているからふざけている」でもなく、
その笑いが何のサインなのかを読む
ことを先にします。

ふきのこの支援観では、「笑っている」に見えるものほど丁寧に読みます

このシリーズでは、
表面に見えている行動と、
実際に内側で起きていることがズレる場面を扱っています。

「笑っている」も、その代表の一つです。

笑っているから楽しい、
笑っているから余裕がある、
笑っているから大丈夫。

こうした読み方は、
時に子どものしんどさを見えなくします。

だから、ふきのこでは
笑いが出ている時ほど、
本当に安心しているのか、
緊張が上がっているのか、
困り感をごまかしているのかを見ます。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
笑っている子を、
そのまま楽しんでいる子とは見ません。

そうではなく、

  • その笑いに緊張はないか
  • 困り感のごまかしではないか
  • 過覚醒のサインではないか
  • どの場面で出やすいのか
  • 何を減らせば本当に安心しやすいのか

を見ます。

大切なのは、
笑っていることを前向きに決めつけることではなく、
その笑いが何の上に成り立っているのかを読み違えないこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

笑っている子は、いつも楽しんでそうしているとは限りません。

その笑いの奥には、
緊張、不安、過覚醒、困り感のごまかしが隠れていることがあります。

大切なのは、
「笑っているから大丈夫」と早く安心することではなく、
その笑いが楽しさなのか、しんどさなのか、上がりすぎのサインなのかを丁寧に見ること
です。

その視点があると、
支援は見た目の明るさを評価するものではなく、
その子が本当に安心して過ごせる条件を探すものへ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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