ふきのこが「困った行動」だけを見ない理由

具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

ふきのこが「困った行動」だけを見ない理由

児童発達支援や放課後等デイサービスの現場で、子どもの支援について相談を受けるとき、保護者の方や関係者の方からよく聞くのは、
「最近他害が増えています」
「物を投げます」
「大声が多いです」
「急に走り出します」
といった、いわゆる“困った行動”についての言葉です。

もちろん、それ自体は大事な情報です。
実際に生活が止まり、家族が疲れ、支援者も対応に追われるのは、そうした行動が目に見える形で出ているからです。

ですが、ふきのこでは、その行動だけを見て支援を決めることはしません。

なぜなら、表に出ている行動だけを見ても、
その子に何が起きているのかは分からないことが多いからです。

同じ「叩く」でも、
不安で叩く子と、
止められて防衛で叩く子と、
身体不快で余裕がなくなって叩く子では、
支援の入り口がまったく違います。

同じ「逃げる」でも、
嫌で逃げる子と、
見られてしんどくて逃げる子と、
崩れる前にその場を離れようとしている子では、
読むべき意味が違います。

つまり、困った行動は“答え”ではなく、
その子の内側で起きていることが外に出た結果にすぎません。

行動だけを見ると、支援はズレやすい

支援がうまくいかなくなる時、多くはここでズレます。

たとえば、

  • 物を投げる → 物を触れないようにする
  • 大声を出す → 静かにするよう注意する
  • 逃げる → 逃げられないようにする
  • 叩く → 叩いたことを止める

こうした対応は、一見すると当然です。
危険を減らすという意味では必要な場面もあります。

ですが、行動の表面だけを止めても、
その背景にあるものが残っていれば、
子どもは別の形でまた崩れます。

むしろ、
「分かってもらえないまま止められる」
「しんどいのに行動だけ注意される」
という経験が重なると、
困った行動はさらに強く、分かりにくくなっていきます。

ふきのこが先に見るのは「何をしたか」ではなく「なぜそこまで行ったか」

ふきのこでは、
行動が起きたあとにまず確認するのは、
「何をしたか」だけではありません。

それより先に、

  • その前に何があったか
  • どんな表情や動きの変化があったか
  • 身体の不快はなかったか
  • 見通しは切れていなかったか
  • 感覚的にきついものはなかったか
  • 関わり方が重くなっていなかったか

を見ます。

同じ行動でも、
そこに至る流れが違えば、支援は変わるからです。

困った行動の前には、たいてい何かが起きている

子どもが急に崩れたように見えても、
実際には“急に”ではないことが多いです。

たとえば、

  • 急に静かになる
  • 急にふざけ始める
  • そわそわ歩き回る
  • 特定の物を触り始める
  • 表情が固くなる
  • 視線が止まる

こうした小さな変化が、崩れの前に出ている子は少なくありません。

ふきのこでは、こうした前兆をかなり重く見ます。

なぜなら、困った行動が出てからではなく、
その前に支援を切り替えられるかどうかで、
崩れ方が大きく変わるからです。

児童発達支援や放課後等デイサービスで本当に必要なのは、
表面の行動にすぐ対応を当てることではなく、
その子に何が起きているのかを見立てることです。

困った行動の背景には、身体サインが隠れていることも多い

ふきのこが行動だけを見ない理由の一つは、
身体の不快が行動として出る子がかなり多いからです。

たとえば、

  • 排便前にそわそわして物をひっくり返す
  • 排尿前に急にイライラする
  • 便意があるのにトイレ誘導の声かけで崩れる

こうした子を、
「落ち着きがない」
「反抗している」
「問題行動が強い」
とだけ読むと、支援はかなりズレます。

実際には、身体の中で起きていることをうまく整理できず、
その不快感が行動になっていることがあります。

この視点がないと、
本当は生活支援で変わる子に、
感情や態度の問題として関わり続けることになります。

感覚のしんどさも、困った行動として誤読されやすい

感覚の問題も同じです。

たとえば、
靴下を嫌がる、
上着を嫌がる、
赤ちゃんの泣き声で崩れる。

これらも、表面だけ見れば
「好き嫌い」
「わがまま」
「我慢が足りない」
と読まれがちです。

ですが実際には、

  • 足先の感覚負荷
  • 重さや締めつけ
  • 高く鋭い声質
  • 場の急な変化

などが、かなり強く入っていることがあります。

つまり、その子は“困らせようとしている”のではなく、
しんどさに対して身体で反応しているだけかもしれません。

同じ行動でも、意味は一つではない

ここが一番大事です。

支援の現場では、同じ見た目の行動でも、
意味がまったく違うことがあります。

たとえば、

  • 逃げる → 嫌だから逃げるのか、不安で逃げるのか、防衛で逃げるのか
  • 叩く → 怒りなのか、混乱なのか、止められて苦しいのか
  • 静かになる → 落ち着いたのか、固まったのか、限界なのか
  • ふざける → 楽しいのか、過覚醒なのか、ごまかしているのか

ここを雑にまとめると、
支援は簡単にズレます。

逆に言えば、
ここを丁寧に見るだけで、
同じ子への関わり方がかなり変わります。

ふきのこが大切にしているのは、「正しい対応」より「正しい見立て」

保護者の方から
「こういう時はどう対応したらいいですか」
と聞かれることは多いです。

もちろん対応は大事です。
ですが、ふきのこではそれ以上に、
その前にどう見立てるか
を大切にしています。

なぜなら、
見立てがズレたまま正しい対応を探しても、
結局うまくいかないからです。

困った行動の背景が
不安なのか、
身体不快なのか、
感覚負荷なのか、
見通しの切れなのか、
関わり方の重さなのか。

そこを読み違えないことが、
支援の出発点になります。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

ふきのこでは、保護者の「なんか気になる」を大事にしています

実際には、
保護者の方が最初から
「これは感覚過敏です」
「これは排便前サインです」
と整理して相談されることはほとんどありません。

多くは、

  • なんか最近荒れやすい
  • なんでか分からないけど気になる
  • この崩れ方が前と違う
  • 説明できないけど嫌な感じがする

という形です。

ふきのこでは、
こういう“まだ言葉になっていない違和感”をかなり大事にしています。

なぜなら、そこに支援のズレや、子どものしんどさの入口が隠れていることが多いからです。

ふきのこ流療育の考え方は、こちらでもまとめています。
ふきのこ流療育の考え方

だから、ふきのこは「困った行動の対応集」では終わらない

もし支援が、
「叩いたらこうする」
「逃げたらこうする」
「大声ならこうする」
だけで終わるなら、
子どもはいつまでも行動だけで理解されることになります。

でも本当に必要なのは、
なぜその行動が出たのかを、子どもの側から見直すことです。

ふきのこは、
困った行動を減らすことだけを目的にしていません。

その子が、
どういう時に苦しくなり、
どういう時に崩れやすく、
どんな支えがあると保ちやすいのか。

そこを一緒に見ていくことを大切にしています。

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、児童発達支援・放課後等デイサービスの支援の中で、
困った行動を「直す対象」としてだけは見ません。

そうではなく、

  • その前に何が起きていたか
  • どんな前兆があったか
  • 身体の不快はなかったか
  • 見通しは切れていなかったか
  • 関わり方が重くなっていなかったか

を見ます。

大切なのは、
表面の行動をただ止めることではなく、
その子に何が起きているのかを読み違えないこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

ふきのこが「困った行動」だけを見ないのは、
行動だけを見ても、その子に何が起きているのかは分からないことが多いからです。

同じ叩く、逃げる、静かになる、ふざけるでも、
背景が違えば支援は変わります。

大切なのは、
行動を止める前に、その行動が何のサインなのかを見立てること
です。

前兆、身体サイン、感覚負荷、見通しの切れ、関わり方のズレ。
そうしたものを一つずつ見ていくことで、
困った行動は単なる問題ではなく、
その子のしんどさを知らせる手がかりとして見えてきます。

ふきのこは、
その子の行動を減らす前に、
その子に何が起きているのかを一緒に見る場所でありたいと考えています。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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