その行動、読み違えていませんか?|見ていないように見えて、実は見すぎて疲れている子

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

その行動、読み違えていませんか?|見ていないように見えて、実は見すぎて疲れている子

子どもの支援をしていると、
活動の場面や集団の中で、
一見こちらを見ていないように見える子がいます。

たとえば、

  • 説明の時に目線が合わない
  • 手元や床ばかり見ている
  • 周囲を見ていないように見える
  • 話を聞いていないように見える
  • 反応がずれているように見える

こうした姿を見ると、
大人はつい
「ちゃんと見ていない」
「話が入っていない」
「注意が向いていない」
と受け取りやすくなります。

ですが、ふきのこでは、見ていないように見える子を、そのまま“見ていない子”とは見ません。

なぜなら、
子どもによっては、
見ていないのではなく、
周囲を見すぎて疲れている
ことがあるからです。

人の動き、
声の大きさ、
空気の変化、
次に何が起きるか、
誰がどこにいるか。

そうしたものを
かなり細かく拾っているからこそ、
正面を見続けられなかったり、
視線を外して自分を保っていたりすることがあります。

つまり、
「見ていない」のではなく、
見えすぎていて、これ以上まっすぐ受けるとしんどい
のかもしれません。

だから、この見え方もかなり読み違えやすい。
そして読み違えるほど、
支援は「ちゃんと見て」「ちゃんと聞いて」と
さらに情報を増やす方向へ寄り、
その子はますます疲れやすくなります。

目が合うことと、状況をつかめていることは同じではありません

大人はどうしても、
目を見ている、
前を向いている、
話し手の方を見ていることを、
「ちゃんと入っている状態」と結びつけやすいです。

逆に、
視線が逸れていると、
入っていないように感じやすいです。

でも実際には、
目を合わせることと、
情報が入っていることは同じではありません。

子どもの中には、
正面を見続けると負荷が上がりすぎるため、
あえて視線を外すことで
情報量を調整している子がいます。

つまり、
視線を逸らしているのは無関心ではなく、
自分が崩れないように受け方を調整している
のかもしれません。

ふきのこが見ているのは「見ているか」ではなく「どこまで受けると重くなるか」です

ふきのこでは、
子どもがこちらを見ていないように見える時、
単に注意の有無だけを見ません。

それよりも、

  • どの場面で視線が外れやすいのか
  • 人が増えるとそうなるのか
  • 言葉が長い時に起きやすいのか
  • 集団説明だけで起きるのか
  • 一対一では入りやすいのか
  • 視線を外していても動きは通っているのか

を見ます。

つまり、
「見ていないから入っていない」ではなく、
どこまで受けると負荷が上がるのか
を見ます。

ここが見えると、
支援は
目を向けさせる方向ではなく、
その子が入りやすい情報量へ調整する方向へ変わります。

なぜ子どもは「見ていないように見える」のか

1. 人の顔や視線そのものが強い刺激だからです

子どもの中には、
相手の顔、
目線、
表情の変化そのものが
かなり強い刺激になる子がいます。

そのため、
ちゃんと受けようとするほど疲れ、
視線を外した方が
まだ保ちやすいことがあります。

この時、
外からは
「見ていない」
ように見えても、
実際には
受けすぎないために調整している
のかもしれません。

2. 周囲の情報を拾いすぎているからです

一人の声だけでなく、
横の子の動き、
遠くの音、
出入口の気配、
支援者の位置などを
同時に拾ってしまう子がいます。

そういう子では、
正面だけを見ることが難しいのではなく、
周囲の情報が多すぎて一点に絞れない
のかもしれません。

3. 正面から受けると緊張が上がりすぎるからです

説明を受ける、
見られる、
待たれる。

こうしたことが重なると、
正面から向き合うこと自体が
かなり重くなる子がいます。

そのため、
視線を少し外しながらでないと、
話も入れないことがあります。

これは逃げではなく、
受け止め方の調整
かもしれません。

4. すでに余裕が落ちていて、入力を減らそうとしているからです

疲れ、
集団刺激、
切り替えの多さ、
待ち時間。

こうしたものが重なると、
子どもは自分を守るために
入力を減らそうとします。

その結果、
目線が落ちる、
正面を見なくなる、
ぼんやりして見える、
という形が出ることがあります。

つまり、
「見ていない」のではなく、
これ以上入れると崩れやすいので減らしている
のかもしれません。

なぜ「見ていない」と読むと危ないのか

1. さらに見させようとして負荷を上げてしまうからです

「ちゃんと見て」
「こっち見て」
「話聞いてる?」
と重ねると、
本人にとっては
入力量がさらに増えます。

すると、
もともと苦しかったものが
もっと重くなり、
ますます入りにくくなります。

2. 入り方の違いを、態度の問題にしやすいからです

視線が合わない子は、
どうしても
態度が悪い、
集中していない、
と見られやすいです。

でも実際には、
入っていないのではなく、
入り方が違うだけ
かもしれません。

ここを見ないと、
その子に合う受け方を支援で作れなくなります。

3. その子なりの理解のサインを見逃しやすいからです

視線は合わなくても、
動き出しは通る。
周囲を見てタイミングを合わせている。
言葉は少し遅れて入る。

そういう子はいます。

でも、
「見ていない」と決めてしまうと、
そうした理解の仕方が見えなくなります。

4. 保護者にも「話を聞いていない」とだけ伝わりやすいからです

事業所側が
「今日はあまり見ていなくて」
「話が入りにくくて」
で終わると、
家庭でも
「ちゃんと見てないからだ」
と受け取られやすくなります。

でも本当に見るべきなのは、
何が多すぎたのか、
どんな受け方なら入りやすいのかです。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、この読み違いがかなり起きやすいです

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
集団説明や活動導入が多く、
「見ているかどうか」が目につきやすいです。

その中で、
視線を外す子、
前を見続けられない子は、
どうしても
「入っていない」
ように見られやすくなります。

でも、ふきのこでは
そこを単純化しません。

むしろ、
どんな見せ方なら重くなりにくいか、
どんな距離や言葉量なら入りやすいかを見ます。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

ふきのこでは、「こちらを見せる」より「入りやすく見せる」を先にします

ふきのこが大切にしているのは、
子どもに正面を向かせることではありません。

それよりも、

  • 言葉を短くする
  • 一度に伝える量を減らす
  • 一対一で伝える
  • 視覚的な手がかりを使う
  • 視線を外していても入れる形を許す

ことで、
その子が入りやすい受け方を作る
ことを先にします。

この順番が逆になると、
支援は「正しい受け方をさせる」ことに偏りやすくなります。

ふきのこの支援観では、「見ていないように見える」ものほど丁寧に読みます

このシリーズでは、
表面に見えている行動と、
実際に内側で起きていることがズレる場面を扱っています。

「見ていないように見える」も、その代表の一つです。

見ていない、
聞いていない、
集中していない。

こうした読み方は、
時に子どもの受け方の繊細さを見えなくします。

だから、ふきのこでは
視線が外れている時ほど、
本当に起きているのが無関心なのか、
見すぎによる疲れなのか、
入力調整なのかを見ます。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
見ていないように見える子を、
そのまま見ていない子とは見ません。

そうではなく、

  • どこで情報が多くなりすぎるのか
  • 何を見ることが重いのか
  • どんな受け方なら入りやすいのか
  • 視線を外していても理解はあるのか
  • 何を減らせば保ちやすいのか

を見ます。

大切なのは、
見方の形だけを正すことではなく、
その子がどうすれば無理なく受け取れるかを読み違えないこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

見ていないように見えて、実は見すぎて疲れている子がいます。

視線が合わないこと、
前を見続けないこと、
目線を外すことは、
必ずしも無関心や不注意を意味しません。

大切なのは、
「見ていない」と早く決めることではなく、
その子にとって何が多すぎて、どんな受け方なら入りやすいのかを丁寧に見ること
です。

その視点があると、
支援は正しい姿勢を求めるものではなく、
その子が無理なく情報を受け取れる形を整えるものへ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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