
自傷が起きたときの対応|頭を打つ・頬を叩く・髪を引っ張るを「安全に抜ける」ための原則(家庭・放課後等デイサービス・児童発達支援対応)
頭を打つ。
頬を叩く。
髪を引っ張る。
服や皮膚を引っ掻く。
自傷が起きた瞬間、支援者も保護者も迷います。
「止めなきゃ」
「でも触れたら悪化する」
「声をかけた方がいいのか、離れた方がいいのか」
まず前提を固定します。
④は改善の章ではありません。
安全に抜ける章です。
爆発中に教育はしません。
抜けて、構造へ戻す。
それが軸です。
自傷4部作|段階的に理解する
- 自傷とは何か|頭を打つ・頬を叩く・髪を引っ張るを「性格」で終わらせない視点
- 自傷が起きる本当の構造|5段階モデルで「積み重なり」を解体する
- 自傷の前兆を見抜く|叩く・髪を引っ張る前に消えている信号
- (このページ)自傷が起きたときの対応|安全に抜けて、構造へ戻す
上から順に読むことで、「止める」から「減らす」へ視点が移行します。
爆発中は安全確保。爆発後に構造へ戻す。これが福祉現場で崩れない軸です。
爆発中の目的は1つだけ|安全確保
- 本人の怪我を増やさない
- 周囲の怪我を増やさない
- 刺激を上乗せしない
「分からせる」「反省させる」は今やりません。
今は抜けるだけです。
自傷で起きやすい悪化スイッチ
- 長い声かけ
- 真正面からの圧
- 人数が増える
- 中途半端な制止
- その場での評価
④で勝つ必要はありません。
刺激を増やさず、最短で抜ける。
爆発中の基本手順
① 刺激を落とす
- 声量を下げる
- 言葉を減らす
- 真正面に立たない(横・斜め)
- 周囲を離す
② 環境を整える
- 硬い物・角・危険物を遠ざける
- 頭部が当たる先を消す
- 床面を安全にする
③ 最小限の介入で怪我だけを止める
止める対象は行動ではなく怪我です。
すべてを止めようとすると戦いになります。
一点だけ守ります。
頭部集中型自傷への具体対応
自傷は頭部に集中しやすい傾向があります。
- 髪を強く引っ張る
- 頭を叩く
- 耳を引っ掻く
- 頬を叩く
- 腕を噛む
理想は前兆で止めることです。
しかし現実はそう甘くありません。
守る場面では守る必要があります。
髪を引っ張る場合
無理に引き剥がすと力が増します。
重要なのは、
頭皮との接触をずらすことです。
- 横から入る
- 真下に引かない
- 横へ逃がす
- 指の緊張方向と逆へゆっくり誘導する
力比べに入ると、足や噛みに移行します。
頭を叩く場合
手首を強く掴まない。
止めるのは手ではなく衝撃点です。
- 手と頭の間にクッションを入れる
- 横方向へ誘導する
- 肘の可動域を軽く制御する
目的は制圧ではなく怪我予防です。
自分の腕を噛む場合
- 顔を近づけない
- 腕を引き離さず角度を変える
- 布・タオルを挟む
- 代替物を準備する
出口を全部閉じると別ルートへ移行します。
逃がし先を作る。
抑えると怒る場合
怒ることは珍しくありません。
怒りと怪我予防は別問題です。
- 全身を制圧しない
- 一点のみ守る
- 短時間で解除する
- 感情を乗せない
止めるのは戦うためではありません。
力を逃がすためです。
身体拘束と身体介入の違い
身体拘束(原則禁止)
- 長時間制限する
- 姿勢・移動を固定する
- 自由を奪う
例外は切迫性・非代替性・一時性のみ。
身体介入(安全確保の一時的行為)
- 怪我に直結する一点だけを防ぐ
- 危険物から距離を取る
- 位置を変える
最小限・短時間・解除前提。
必ず記録し、振り返ります。
爆発後にやること
- 責めない
- 蒸し返さない
- 関係を戻す
- 身体条件を確認する
- 直前刺激を棚卸しする
④で終わらせない。
③に戻す材料を集めます。
→ 自傷の前兆を見抜く(③)へ戻る
記録の型
- 発生時刻
- 直前刺激
- 身体条件
- 介入内容
- 回復時間
最低2週間で傾向を見る。
家庭・放課後等デイサービス・児童発達支援の接続
- 爆発の時間帯
- 前兆サイン
- 効いた環境調整
- 身体条件のパターン
構造が揃うほど④の頻度は減ります。
結論
- 爆発中は安全確保
- 刺激を足さずに抜ける
- 爆発後に構造へ戻す
- 記録して再現可能にする
④は消耗戦になりやすい。
だからこそ、
最短で抜ける設計が必要です。
強度行動障害の支援方法(判断と切り替え)
爆発前〜爆発中〜回復(切り替え)までを、現場で使える「判断の型」として整理した本編は下記です。
他害4部作もあわせて読む(関連)
自傷と他害は「向き」が違うだけで、どちらも神経負荷の限界反応として同じ土台を共有します。
両方が出るケースも珍しくありません。
大事なのはラベルではなく、負荷の総量と、③で削れる構造に戻せているかです。
