その行動、読み違えていませんか?|嫌がっているように見えて、実は怖がっている子

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

その行動、読み違えていませんか?|嫌がっているように見えて、実は怖がっている子

子どもの支援をしていると、
何かを強く嫌がる場面があります。

たとえば、

  • トイレに行こうとすると逃げる
  • 着替えの場面で怒る
  • 活動の切り替えで拒否が強く出る
  • 特定の場所に近づこうとしない
  • 声をかけた瞬間に崩れる

こうした場面を見ると、
大人はつい
「嫌がっている」
と受け取ります。

もちろん、それ自体は間違いではありません。
実際に本人は嫌がっています。

ですが、ふきのこでは、嫌がっているように見える子を、そのまま“ただ拒否している子”とは見ません。

なぜなら、
その嫌がりの中に、
単なる反抗やわがままではなく、
怖さが入っていることが少なくないからです。

しかもその怖さは、
大人が思っているものと違う形で起きていることがあります。

場所が怖いのかもしれない。
先が見えないことが怖いのかもしれない。
身体感覚の変化が怖いのかもしれない。
前にしんどい思いをした流れが怖いのかもしれない。
大人に急かされる感じ自体が怖いのかもしれない。

つまり、
「嫌がっているように見える」のではなく、
怖くて通れない
ことがあります。

だから、この見え方もかなり読み違えやすい。
そして読み違えるほど、
支援はその子を通す方向へ寄り、
その子の怖さはますます強くなりやすくなります。

嫌がりは見えやすいですが、中身は見えにくいです

子どもが嫌がる時、
外から見える行動は分かりやすいです。

逃げる。
怒る。
泣く。
抵抗する。
固まる。
大声が出る。

こうしたものは、支援者にも保護者にもはっきり見えます。

でも、本当に見たいのは
その行動そのものではなく、
その奥に何があるか
です。

同じように拒否していても、

  • 嫌だから拒否しているのか
  • 分からないから止まっているのか
  • 怖いから逃げているのか
  • 身体的にきつくて避けているのか
  • 過去の嫌な経験を思い出しているのか

では、支援は全く変わります。

ここを見ないまま
「嫌がっているから慣れさせよう」
「嫌でも通そう」
へ進むと、
本人にとっては
怖いことを繰り返される経験
だけが積み上がりやすくなります。

ふきのこが見ているのは「嫌がったか」ではなく「どこで怖さが立ち上がったか」です

ふきのこでは、
子どもが何かを嫌がった時、
その瞬間の拒否だけを見ません。

それよりも、

  • どの段階で表情が変わったのか
  • どの言葉で固くなったのか
  • 場所に近づいた時なのか
  • 見通しが切れた時なのか
  • 触られた時なのか
  • 終わりが見えなくなった時なのか

を見ます。

つまり、
「嫌がったからどう対応するか」より前に、
どこから怖さが始まっていたのか
を見ます。

たとえば、
トイレを嫌がる子でも、
トイレの前で止まるのか、
「トイレ行こう」という言葉で固くなるのか、
服を触られる段階で怒るのかで、
怖さの中身は全く違います。

この違いを見ずに
全部を「トイレ拒否」でまとめると、
支援はすぐにズレます。

なぜ子どもは「嫌がっているように見える」のか

1. 何が起きるか分からないこと自体が怖いからです

子どもの中には、
嫌なのではなく、
分からないことが怖い
子がいます。

次に何をされるのか。
どこまで行くのか。
終わるのはいつか。
何を求められるのか。

こうした見通しが弱い時、
子どもは拒否の形で止まることがあります。

外から見ると嫌がりに見えますが、
実際には不安で前に進めないのかもしれません。

2. 身体感覚や感覚刺激が怖いからです

大人には小さなことでも、
子どもにとっては身体感覚の変化そのものが怖いことがあります。

たとえば、

  • トイレの冷たさ
  • 服の締めつけ
  • 水の感触
  • 音の響き
  • 明るさや匂い

などです。

この場合、
嫌がっているのではなく、
自分の身体に入ってくる刺激が怖い
のかもしれません。

3. 前にしんどかった経験と結びついているからです

以前に無理に通された、
強く急かされた、
苦しい思いをした、
大きく崩れた。

そうした経験があると、
同じ流れに入る前から警戒が上がることがあります。

その時の拒否は、
今その瞬間が嫌なのではなく、
またあの感じになるのが怖い
のかもしれません。

4. 大人の関わりそのものが圧になっているからです

「早くしよう」
「大丈夫だよ」
「行こう」
「できるよ」

大人にとっては励ましや促しでも、
子どもにとっては
逃げ場がなくなる言葉
として入ることがあります。

すると、
場所や活動そのものより、
その関わられ方自体が怖くなって、
拒否が強くなることがあります。

なぜ「ただ嫌がっている」と読むと危ないのか

1. 怖さを見ずに通そうとしてしまうからです

嫌がりを
「わがまま」
「反抗」
「ただの拒否」
と読むと、
支援はどうしても
通す方向へ寄りやすくなります。

でも、本当に起きているのが怖さなら、
通されるほど警戒は強くなります。

つまり、
本人の中では
「やっぱり怖いことが起きた」
という学習が積み上がりやすくなります。

2. 子どもの前兆を見逃しやすくなるからです

怖さがある子は、
いきなり崩れる前に
小さな変化を出していることがあります。

表情が固くなる。
動きが減る。
そわそわする。
視線が止まる。
ふざけ始める。

でも、
「ただ嫌がっている」と見ていると、
そうした前兆が
ただの拒否の一部として流れやすくなります。

3. 家庭でも同じ押し込みが起きやすくなるからです

事業所で
「嫌がっていますが経験も必要です」
のように見立ててしまうと、
家庭でも
「嫌がっても通さないと」
になりやすいです。

でも、もし必要なのが慣れではなく
怖さの中身を読むことなら、
その押し込みは
親子ともにかなり消耗します。

4. 本人の「通れない理由」が見えなくなるからです

嫌がりを表面だけで読むと、
その子にとって何が重いのかが見えません。

本当は、
言葉の量なのか、
場所なのか、
音なのか、
見通しなのか、
身体不快なのか。

そこが分かれば、
支援はかなり変わります。

でも、そこを見ないまま
「嫌がる子」と固定すると、
支援は深まりません。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、この読み違いがかなり起きやすいです

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
生活場面や集団場面の中で、
子どもが嫌がる場面に何度も出会います。

その中で、
どうしても
「少しずつ慣れよう」
「経験を重ねよう」
という方向に行きやすいことがあります。

それ自体が全部悪いわけではありません。

でも、
その前に必要なのが
「何を怖がっているのかを見ること」
である場面はかなり多いです。

ふきのこでは、
そこを飛ばさないようにしています。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

ふきのこでは、「嫌がりを止める」より「怖さを分解する」を先にします

ふきのこが大切にしているのは、
嫌がりを早くなくすことではありません。

それよりも、

  • 何が怖いのか
  • どこから重くなるのか
  • 何を減らせば少し入りやすいのか
  • どこまでなら通れるのか
  • どの順番なら負荷が少ないのか

を見ます。

つまり、
「嫌がりを抑える」より、
怖さを分解して、その子が通れる条件を探す
ことを先にします。

この順番が逆になると、
支援はその子を理解する前に進めてしまいます。

ふきのこの支援観では、「嫌がり」に見えるものほど丁寧に読みます

このシリーズでは、
表面に見えている行動と、
実際に内側で起きていることがズレる場面を扱っています。

「嫌がっているように見える」も、その代表の一つです。

嫌がるから反抗、
逃げるからわがまま、
怒るから通さなければいけない。

こうした読み方は、
時に子どもの怖さを見えなくします。

だから、ふきのこでは
嫌がりが出た時ほど、
本当に起きているのが反抗なのか、
不安なのか、
怖さなのかを見ます。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
嫌がっているように見える子を、
そのままただ拒否している子とは見ません。

そうではなく、

  • その嫌がりの中に怖さはないか
  • どこから不安が上がっているのか
  • 何がその子にとって重いのか
  • どこまでなら通れるのか
  • 何を減らせば入りやすくなるのか

を見ます。

大切なのは、
嫌がりを早く止めることではなく、
その子が何を怖がっているのかを読み違えないこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

嫌がっているように見えて、実は怖がっている子がいます。

逃げること、
怒ること、
拒否することは、
必ずしも反抗やわがままを意味しません。

大切なのは、
「嫌がっている」と早く決めることではなく、
その嫌がりの奥に、何に対する怖さがあるのかを丁寧に見ること
です。

その視点があると、
支援は無理に通すものではなく、
その子が少しずつ通れる条件を一緒に探していくものへ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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