
▶ 強度行動障害の支援方法
誤学習ケース㊴|予測不能学習(対応が日によって変わると行動が不安定になる構造)
子どもの問題行動を見ていると、次のような場面があります。
- ある日は怒られる
- ある日は注意されない
- ある日は許される
- ある日は強く叱責される
同じ行動なのに、大人の対応が日によって変わる。
この環境では、子どもは次のことを学習します。
どうなるか分からない
これをここでは予測不能学習と呼びます。
予測不能学習とは何か
予測不能学習とは、大人の対応が安定していない環境で、行動の結果が読めなくなることで起きる誤学習です。
本来、子どもは次のように学習します。
- 行動
- 結果
- 次の行動
しかし結果が毎回変わると、この学習が成立しません。
その結果、行動は次第に不安定になります。
行動分析から見た構造
行動分析では、この状態を不規則強化(intermittent reinforcement)と呼びます。
この強化は、実は行動を非常に強く固定します。
たとえば次のような状況です。
- 10回に1回成功する
- たまにうまくいく
- ときどき許される
このとき人は次のように考えます。
もう一回やればうまくいくかもしれない
その結果、行動はむしろ増えていきます。
なぜ行動は強く固定するのか
予測不能な強化は、脳の報酬系を強く刺激します。
これはギャンブルと同じ仕組みです。
結果が毎回同じなら、人は行動をやめやすくなります。
しかし結果がランダムになると、人は次の期待を持ち続けます。
次は成功するかもしれない
この期待が行動を続けさせます。
ケース
ある子どもが活動中に物を投げる行動を見せていました。
そのとき大人の対応は次のようにばらばらでした。
- 忙しい日は注意しない
- 余裕がある日は叱る
- 疲れている日は無視する
この結果、子どもは次のことを学習します。
投げれば何かが変わる
つまり、行動は環境を試す手段として固定されます。
支援で重要な視点
予測不能学習を防ぐためには、
対応の一貫性
が非常に重要です。
具体的には次のことが必要です。
- 職員間で対応を共有する
- 同じ行動には同じ対応をする
- ルールを安定させる
つまり支援とは、
予測できる環境を作ること
とも言えます。
問題行動の構造を理解する
問題行動は突然起きるのではなく、環境との関係の中で形成されます。
問題行動の基本構造については、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、強度行動障害の支援方法については次の記事で体系的に解説しています。
強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

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