
▶ 強度行動障害の支援方法
【誤学習ケース】
本記事では、強度行動障害の支援現場で起きやすい誤学習(支援が行動を強化してしまう構造)について解説します。
今回は「パニックが終わると嫌な状況が消える構造」を整理します。
誤学習ケース㉑|パニックが終わると嫌な状況が消える構造
強度行動障害の支援では、特定の場面でパニックや強い拒否行動が起きることがあります。
例えば次のような場面です。
- 活動の切り替え
- 課題への取り組み
- 帰宅の準備
- 順番待ち
これらの場面で次のような行動が見られることがあります。
- 大声を出す
- 床に寝転ぶ
- 物を投げる
- 他害
支援者は安全確保のため、次の対応を行うことがあります。
- 活動を中断する
- 課題をやめる
- その場から離れる
この対応が繰り返されると、ある学習が成立します。
行動の構造
行動は次の関係で理解されます。
A(先行条件) → B(行動) → C(結果)
例えば次のような流れです。
A:嫌な活動が始まる
B:パニック / 強い拒否
C:活動が中断される
このとき子どもは次を学習します。
パニック → 嫌な状況が消える
つまりパニックが回避手段として機能するようになります。
これは「負の強化」である
行動分析では、嫌な刺激が消えることで行動が強くなる現象を負の強化と呼びます。
この場合、
嫌な活動 → 消える
という結果が行動を強化します。
つまり子どもは
この行動をすると嫌なことを避けられる
と学習します。
エスカレーションの仕組み
この学習が成立すると、次の変化が起きます。
①最初は小さな拒否
- 顔をそむける
- 動かない
②状況が変わらない
③行動が強くなる
- 大声
- 床に寝る
- 物投げ
④活動が中断される
この結果、子どもは
強い拒否ほど成功する
と学習します。
現場でよくある誤解
この状況では、次のように考えられることがあります。
- この子は課題が嫌い
- この子はわがままだ
- この子はパニック体質だ
しかし実際には
行動の学習
が成立している可能性があります。
支援の修正方法
①小さな拒否を見逃さない
パニック前のサインを確認します。
- 動きが止まる
- 表情が固くなる
- 視線が逸れる
②課題の難易度を調整する
活動が過度な負担になっている場合、調整が必要です。
③成功体験を作る
小さな取り組みでも
できた → 終わる
という経験を増やします。
まとめ
強度行動障害の支援では、パニックが起きたときに活動を中断することがあります。
しかし状況によっては
パニック → 嫌な状況が消える
という誤学習が成立している可能性があります。
支援では
- 先行条件の理解
- 小さなサインの把握
- 成功体験の積み重ね
といった視点が重要になります。
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