
▶ 強度行動障害の支援方法
【誤学習ケース】
本記事では、強度行動障害の支援現場で起きやすい誤学習(支援が行動を強化してしまう構造)について解説します。
今回は「要求が通るまで行動が強くなる構造」を行動分析の視点から整理します。
誤学習ケース⑳|要求が通るまで行動が強くなる構造
強度行動障害の支援では、子どもの要求が通らない場面が存在します。
例えば次のような場面です。
- まだ遊びを続けたい
- 順番を待ちたくない
- 別の活動をしたい
- 帰りたくない
このような場面で行動が強くなることがあります。
- 大声を出す
- 物を投げる
- 床に寝転ぶ
- 他害
支援者は安全確保や場面収束のために、最終的に要求を通してしまうことがあります。
しかしこの対応が繰り返されると、ある学習が成立します。
行動の構造
行動は次の関係で理解されます。
A(先行条件) → B(行動) → C(結果)
例えば次のような流れです。
A:要求が通らない
B:大声・物投げ
C:要求が通る
このとき子どもは次の関係を学習します。
強い行動 → 要求が通る
つまり行動が要求を通す手段として機能するようになります。
エスカレーションが起きる理由
この学習が成立すると、次の現象が起きます。
①最初は小さな行動
- 小さな声
- 軽い拒否
②要求が通らない
③行動が強くなる
- 大声
- 床に寝る
- 物を投げる
④最終的に要求が通る
この結果、子どもは次を学びます。
もっと強くすれば通る
これが行動エスカレーションの典型構造です。
現場で見られる典型パターン
多くの現場では次の順序が起きています。
拒否
↓
声が大きくなる
↓
物を叩く
↓
床に寝転ぶ
↓
他害
↓
要求が通る
このとき最後の結果が学習を固定します。
つまり
最も強い行動が成功体験になる
という構造です。
支援の修正方法
①要求行動を教える
問題行動ではなく、適切な要求方法を教えます。
- 言葉で伝える
- カードを使う
- 支援者を呼ぶ
②小さな行動で要求を受け取る
エスカレーション前の行動に注目します。
例えば
- 声をかけた
- 近づいた
- 手を挙げた
こうした行動で要求が伝わる経験を作ります。
③エスカレーションを成功体験にしない
最も強い行動のあとで要求が通ると、その行動が固定されます。
そのため支援では行動の順序を意識する必要があります。
まとめ
強度行動障害の支援では、要求場面で行動が強くなることがあります。
しかし状況によっては
強い行動 → 要求が通る
という誤学習が成立している場合があります。
支援では
- 適切な要求行動
- 早い段階での対応
- エスカレーションの予防
といった視点が重要になります。
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