注意された直後に物を投げたケース|強度行動障害の子どもに見られた投擲行動

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

注意された直後に物を投げたケース|強度行動障害の子どもに見られた投擲行動

強度行動障害のある子どもの支援では、危険行動を止めるための「注意」や「指示」が、
かえって行動を激化させてしまう場面があります。支援者としては安全を守るために
声をかけますが、その声かけ自体が刺激となり、行動の連鎖が起きることがあります。
ここでは、実際の支援現場で見られた「注意された直後に物を投げる行動」のケースを紹介します。
強度行動障害の支援の基本的な考え方については
強度行動障害の支援方法
でも解説しています。

現場で起きた状況

その日は放課後の活動時間で、子どもたちはそれぞれ好きな遊びをして過ごしていました。
対象となる児童は小学校3年生で、強度行動障害の特性があり、
環境の変化や周囲の音刺激に敏感な様子が見られる子どもでした。

児童はテーブルの上でブロック遊びをしており、
いくつかのパーツを組み合わせながら黙々と手を動かしていました。
周囲では別の子どもたちがカードゲームをしており、
時折大きな声や笑い声が上がる状況でした。

しばらくすると、児童は手に持っていたブロックを床に落としました。
落とした後、すぐに拾うことはせず、床に落ちたブロックを見つめたまま
手をテーブルの上に置いて動きを止める様子が見られました。

このとき児童の表情は硬く、視線は一点に固定されていました。

支援者はブロックが周囲の子どもに当たることを防ぐため、
児童の近くに歩み寄り、
「ブロックは落とさないよ」「投げないで遊ぼうね」と声をかけました。

すると児童は床を見たまま、手に残っていたブロックを握りしめました。
指先に強く力が入り、手の動きが止まる様子が見られました。

突然始まった投擲行動

次の瞬間、児童は椅子から急に立ち上がり、
手に持っていたブロックを床に強く叩きつけました。

その後、テーブルの上にあったブロックを次々と手に取り、
床や壁に向かって投げ始めました。

ブロックは連続して床に当たり、乾いた音が教室に響きました。

周囲で遊んでいた子どもたちは驚き、
自然とテーブルから距離を取る状況になりました。

支援者が近づこうとすると、児童はブロックを握った手を振り上げ、
さらに投げる動作を続けました。

この時点では言葉による指示はほとんど届かず、
児童は呼吸が荒く、身体全体に強い緊張が見られました。

数分間、投擲行動が続いた後、
児童は床にしゃがみ込み、手を膝の上に置いたまま動かなくなりました。

観察から見えた前兆

このケースでは、投擲行動が始まる前にいくつかの前兆が見られました。

  • 手の動きが突然止まる
  • 視線が一点に固定される
  • 指先に強く力が入る

強度行動障害のある子どもでは、こうした身体の緊張や動作の停止が、
行動の切り替わりの前兆として現れることがあります。

この段階ではまだ投擲行動は始まっておらず、
環境調整や距離の確保によって行動の連鎖を防げた可能性も考えられます。

行動の機能分析

このケースを行動分析の視点から整理すると、
次のような連鎖が考えられます。

  • 周囲の音刺激(他児の声)
  • ブロックを落とす
  • 支援者の注意
  • 強い緊張
  • 投擲行動

つまり、行動の直接の引き金は
「ブロックを落としたこと」ではなく、
注意された刺激であった可能性があります。

強度行動障害のある子どもの場合、
注意や指示が

  • 突然の刺激
  • 行動の制限
  • 強いプレッシャー

として受け取られることがあります。

その結果、緊張が急激に高まり、
投擲行動として表出することがあります。

支援現場で考えたい視点

危険行動を止めることはもちろん重要です。
しかし、その場面での関わり方によって
行動の拡大を招くこともあります。

このケースでは、

  • 注意する
  • 距離を取る
  • 環境刺激を減らす

といった選択肢の中で、
支援者の判断が求められる場面でした。

強度行動障害の支援では、
「行動を止めること」だけでなく、
刺激の量やタイミングを調整することも
重要な視点になります。

ふきのこの支援の考え方については
ふきのこについて
でも紹介しています。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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