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▶ 強度行動障害の支援方法
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咳やくしゃみに反応して叩く行動|聴覚刺激過敏による他害支援事例(小学1年)
この記事では、咳・くしゃみ・鼻をすする音などの聴覚刺激に反応して
他者を叩きに行く行動について、観察・分析・支援方法を整理します。
強度行動障害支援の基本的な考え方については
強度行動障害の支援方法
でも解説しています。
ケース概要
- 小学1年生
- 重度自閉スペクトラム症
- 重度知的障害
- 強度行動障害あり
- 発語なし
他者の「咳」「くしゃみ」「鼻をすする音」に強く反応し、
その人物へ接近して叩こうとする行動が見られていました。
この行動は施設内だけでなく、外出先でも見られました。
音を出した人物に対して強く反応し、距離が離れていても
接近して叩きに行こうとする様子が見られました。
問題行動
- 咳やくしゃみをした人に接近する
- 肩や腕を叩く
- 大声を出す
外出先では、知らない人に向かって叩きに行こうとするため
安全管理上のリスクが高い行動でした。
観察された前兆
行動の直前には次のサインが見られました。
- 特定の人物を睨む
- 視線が一点に固定される
- 身体の動きが止まる
- 俯く
これらの前兆が見られた後、
急に立ち上がり接近する行動へ移行することがありました。
機能分析
行動をABCの視点で整理しました。
- A(先行事象):咳・くしゃみ・鼻をすする音
- B(行動):叩く
- C(結果):音刺激が止まる・周囲が注目する
このケースでは
「不快な音刺激の遮断」
という機能が考えられました。
つまり叩く行動は、
本人にとって「音を止める手段」として
学習されている可能性がありました。
初期対応(失敗)
当初は次の対応を行いました。
- 叩く前に制止する
- 「叩いたらダメ」と伝える
- 別の場所へ移動させる
しかし、音刺激に対する反応そのものは変わらず、
叩こうとする行動は続きました。
この段階で問題だったのは
- 刺激そのものへの対応ができていない
- 感覚過敏への配慮が不足している
ことでした。
支援の再設計
支援は「叩く行動」ではなく
音刺激への対処を中心に再設計しました。
- 静かな席配置へ変更
- 距離を取れるスペースを確保
- 外出時は人混みを避けるルートを選択
さらに、前兆が見られた段階で
- 身体の向きを変える
- 距離を取る
- 視線を遮る
などの早期介入を行いました。
結果
- 叩く行動の頻度は減少
- 前兆段階で落ち着く場面が増えた
- 距離調整で行動が止まるケースが見られた
完全な消失には至っていませんが、
行動の発生前に介入できる場面が増え、
安全管理がしやすくなりました。
このケースからの学び
- 他害行動の背景には感覚過敏がある場合がある
- 問題行動だけでなく刺激環境の分析が必要
- 前兆観察は安全管理に重要
- 環境調整が支援の中心になるケースもある
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