ふきのこが行動を“性格”で説明しない理由

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

ふきのこが行動を“性格”で説明しない理由

子どもの支援について話していると、
かなり自然に使われやすい言葉があります。

たとえば、

  • この子は頑固です
  • 気が強いです
  • こだわりが強い性格です
  • 繊細なタイプです
  • 怒りっぽいところがあります
  • マイペースな子です

こうした表現は、
その子の特徴を短く伝えるには便利です。
会話の中で使いやすく、
一見すると分かりやすい整理にも見えます。

ですが、ふきのこでは、子どもの行動を“性格”だけで説明することはしません。

なぜなら、
性格という言葉でまとめた瞬間に、
その場で実際に何が起きているのか、
どの条件で崩れやすいのか、
何を調整すれば通りやすくなるのかが、
見えにくくなってしまうことが多いからです。

つまり、
性格という説明は分かりやすい反面、
支援の手がかりを消してしまいやすい
のです。

性格で説明すると、その子の行動が“変えにくいもの”として固定されやすい

たとえば、
ある子が毎回トイレ誘導で強く拒否するとします。

それを
「頑固だから」
で説明すると、
話はそこで止まりやすくなります。

また、
集団で急に怒りっぽくなる子を
「気が強い」
と表現すると、
その場で何が重なっていたのかを見なくなりやすいです。

つまり、
性格という言葉は、
一見その子を理解したようでいて、
実際には

  • どこで止まりやすいのか
  • 何が引き金になったのか
  • どんな支えなら通りやすいのか
  • 支援のどこが重かったのか

を考える前に、
結論を出してしまいやすいのです。

その結果、
行動は
「その子らしさ」
として固定され、
支援の修正余地が見えにくくなります。

ふきのこが先に見るのは「どんな子か」より「どんな条件でそうなるか」

ふきのこでは、
子どもの行動を見た時に、
まず
「この子はこういう性格だ」
とは考えません。

それより先に、

  • どんな場面で起きたのか
  • その前に何があったのか
  • 誰との関わりで強く出たのか
  • どんな刺激が重なっていたのか
  • 身体不快や疲れはなかったか
  • 見通しはあったか

を見ます。

つまり、
「どんな子か」より、
どんな条件でその行動が立ち上がるのか
を先に見ます。

同じ子でも、
人が少ないと落ち着く、
終わりが見えると保てる、
排泄前は荒れやすい、
見られていると止まりやすい、
ということがあります。

それなら、
問題は性格ではなく、
条件との噛み合わなさ
かもしれません。

なぜ行動を性格で説明すると危ないのか

1. 支援の修正点が見えなくなるから

「頑固」
「怒りっぽい」
「こだわりが強い」
で止まると、
支援者は環境や関わり方を見直しにくくなります。

でも実際には、

  • 声かけが多すぎた
  • 刺激が強すぎた
  • 見通しが足りなかった
  • 身体不快を見落としていた
  • 集団の空気が重かった

といったことが背景にあるかもしれません。

性格で説明すると、
本来見直せるはずの支援の側が見えにくくなります。

2. 子どもが“そういう子”として固定されやすいから

支援者の間で
「あの子は頑固だから」
「あの子は気分屋だから」
という共有が進むと、
行動は徐々に個人の属性として扱われやすくなります。

そうなると、
前兆や条件を見る前に、
最初から
「またそうなるだろう」
と見られやすくなります。

これはかなり大きいです。

支援の入り口が最初から狭くなり、
子どもの変化よりラベルの方が残りやすくなるからです。

3. 保護者のしんどさも個人の問題にされやすいから

家庭で困っていることを相談した時に、
「この子はそういう性格ですから」
で返されると、
保護者はかなりしんどいです。

なぜなら、
それは理解ではなく、
半分あきらめに近い返答として響きやすいからです。

保護者が知りたいのは、
ラベルではなく、

  • 何がしんどいのか
  • なぜこの場面で起きるのか
  • どう見ればいいのか
  • 何を変えると少し通りやすいのか

です。

性格という言葉だけでは、
その問いに答えられません。

4. 子どもの状態変化を拾いにくくなるから

もし行動をすべて性格で説明してしまうと、
その日の違い、
場面ごとの差、
支援による変化が見えにくくなります。

でも実際には、
同じ子でも

  • 疲れている日は上がりやすい
  • 午前より午後に不安定
  • 特定の人だと入りやすい
  • 終わりが見えると保ちやすい

ということがあります。

つまり、
行動には状態差がある。

そこを見ずに性格でまとめると、
本来拾える変化を見逃しやすくなります。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、性格説明が便利だからこそ注意が必要です

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
短い時間で子どもの特徴を共有しなければならないことが多いです。

そのため、
どうしても
「こういう子です」
というまとめ方が増えます。

ここで性格表現は便利です。

でも便利だからこそ、
それが支援の中に入り込みすぎると危ない。

たとえば、

  • 頑固 → 見通しが弱いのかもしれない
  • 怒りっぽい → 身体不快や過覚醒かもしれない
  • 気分屋 → 前兆の読み取り不足かもしれない
  • マイペース → 切り替え要求が重いのかもしれない

というように、
性格で見えるものの中には、
本当は状態や条件の話がかなり混ざっています。

ふきのこでは、
共有を短くする時でも、
なるべく
「どういう条件で起きやすいか」
まで一緒に持つようにしています。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

性格を否定したいのではなく、性格だけで終わらせないことが大事です

ここは誤解されやすいところです。

ふきのこは、
子どもの気質や傾向を全く見ないわけではありません。

慎重さが強い子もいます。
変化に敏感な子もいます。
自分のやり方を保ちたい子もいます。

そうした特徴自体は確かにあります。

でも、大事なのは、
そこで思考を止めないことです。

「慎重な子」なら、
何があると入りやすいのか。

「こだわりが強い子」なら、
どこで見通しが切れやすいのか。

「怒りっぽく見える子」なら、
何が先に重なっているのか。

つまり、
性格のように見えるものを、
支援可能な条件へ分解すること
が大事です。

ふきのこの支援観では、「性格」より「関係」と「条件」を見ます

ふきのこの支援観シリーズでは、
子どもの行動を固定的な属性で説明しすぎないことを重視しています。

なぜなら、
支援で見たいのは
「その子はこういう子だ」
という決めつけではなく、

  • どんな条件で苦しくなるのか
  • どんな関わりで保ちやすいのか
  • 何を減らすと入りやすいのか
  • どこで見立てを変えるべきか

だからです。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
子どもの行動を
“性格”でまとめて終わらせません。

そうではなく、

  • どんな場面で起きるのか
  • 何が重なると出やすいのか
  • その前にどんな変化があるのか
  • 何を調整すれば通りやすくなるのか
  • 支援のどこを見直すべきか

を見ます。

大切なのは、
その子をラベルで理解した気になることではなく、
その子に何が起きているのかを支援につながる形で読むこと
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

ふきのこが行動を“性格”で説明しないのは、
性格という言葉でまとめた瞬間に、
その場で何が起きているか、
どんな条件でそうなるのか、
何を変えれば通りやすくなるのかが見えにくくなるからです。

大切なのは、
「そういう子だ」で終わることではなく、
どんな関係と条件の中でその行動が立ち上がっているのかを丁寧に見ること
です。

その視点があると、
支援はラベルづけではなく、
その子に合う形を一緒に見つけていくものへ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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