
発達障害の行動を設計する ― ふきのこ流 行動設計
行動を止めるのではなく、行動が起きる構造を設計する。
ふきのこ流行動設計は、発達障害支援を「対応」から「再現可能な構造設計」へと引き上げる枠組みです。
ふきのこ流 行動設計
なぜ「問題行動」と呼ばないのか
発達障害のある子どもの行動は、しばしば「問題行動」と呼ばれます。
他害、自傷、逸走、パニック、排泄の逸脱、強いこだわり。
しかし私たちは、それを矯正すべき対象とは捉えません。
行動は結果です。
その前には必ず、環境とのミスマッチ、予測不能な変化、刺激過多、身体的負荷、伝えきれない要求といった構造があります。
目の前の行動だけを止めても、構造が変わらなければ再発します。
だから私たちは、支援を「対応」ではなく、設計として考えます。
行動設計とは何か
行動を抑えるのではなく、行動が起きにくい構造を整える支援。
発達障害支援では「構造化」が重要だとされます。視覚支援やスケジュール提示は有効です。
しかし私たちは、それを環境整理の一部にとどめません。
前兆の観察、行動の機能仮説、安全の優先順位、評価と再設計。
それらを含めた全体を行動設計と呼びます。
行動設計 5つのステップ
① 観る
爆発は突然ではありません。表情の硬さ、身体の緊張、視線の変化、反復行動など、行動の「前」を観察します。
② 読む
行動の機能を仮説します。逃避、要求、感覚刺激、注目など、決めつけず複数の可能性を持ちます。
③ 整える
刺激を減らす、予告を入れる、選択肢を提示する、活動構造を明確にするなど、環境を再設計します。
▶︎ 空腹と行動の関係
▶︎ 排泄と行動問題
▶︎ 睡眠と行動の構造
④ 守る
爆発中は教育しません。まず安全、次に鎮静、刺激の調整。順番を守ります。
⑤ 回す
頻度、強度、回復時間、前兆の変化を評価し、再設計します。支援は循環です。
強度行動障害との関係
強度行動障害も特別な理論で扱うのではなく、同じ設計構造で考えます。
行動別の具体理解
設計は「行動の種類」によって観察ポイントや整え方が変わります。深掘りは以下にまとめています。
身体状態と行動の関係
行動は「気持ち」だけで起きません。身体状態が引き金になることも多く、ここを見落とすと設計が崩れます。
- ▶︎ 空腹と行動の関係
- ▶︎ 排泄と行動問題
- ▶︎ 睡眠と行動の不安定さ
既存理論との関係
行動設計は、ABA(応用行動分析)、構造化支援、感覚統合などの既存理論を否定するものではありません。
むしろ、それらを前提とした上で、「現場で機能させる順番」を固定する枠組みです。
支援は以下の変数で検証します。
- 問題行動の頻度
- 強度(危険度・持続時間)
- 前兆の明確化
- 回復までの時間
- 安定期間の変化
理論は道具。設計は順序。
行動設計は、エビデンスに基づく支援を循環させる構造です。
エビデンスについて
行動設計は、科学的知見と対立する概念ではありません。
その前提には、応用行動分析(ABA)、機能的アセスメント(FBA)、刺激統制理論、単一事例研究デザインといった行動科学の蓄積があります。
私たちはそれらを否定しません。むしろ前提としています。
しかし同時に、こう考えています。
理論があっても、順番が崩れれば支援は再現されない。
現場で起きやすいのは、
- 分析はしているが安全優先が曖昧
- 構造化しているが前兆を観ていない
- 技法はあるが循環がない
という断片化です。
行動設計は新しい技法ではありません。
既存の科学的理論を、現場で機能させる「順序」に固定する枠組みです。
検証可能性
行動設計は感覚的支援を推奨しません。以下の変数で効果を検証します。
- 問題行動の頻度
- 強度(危険度・持続時間)
- 前兆の明確化
- 爆発からの回復時間
- 設計変更後の安定期間
これらを記録し、設計変更前後で比較する。
これは単一事例研究の考え方と一致します。
理論は道具。設計は順序。
行動設計は、エビデンスに基づく支援を循環させる構造です。
実践している施設
この考え方は、私たちが運営する現場で日々検証されています。
