ふきのこが「問題が起きなかった日」も細かく見る理由

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具体的な支援の組み立て方や現場での対応手順については、以下の専門ページで詳しく解説しています。
強度行動障害の支援方法

ふきのこが「問題が起きなかった日」も細かく見る理由

子どもの支援では、
大きな崩れがなかった日、
他害や自傷が目立たなかった日、
活動が大きく止まらなかった日は、
どうしても「今日は大丈夫だった日」と受け止められやすくなります。

もちろん、それ自体は大事です。
大きな問題が起きなかったこと、
安全に過ごせたこと、
一日の流れが大きく崩れなかったことには、確かに意味があります。

ですが、ふきのこでは、「問題が起きなかった日」を、そのまま安心して流すことはしません。

なぜなら、
問題が起きなかったからといって、
その子が本当に楽に過ごせていたとは限らないからです。

また逆に、
問題が起きなかった日の中にこそ、
その子に合っていた支えや、
少しずつ見えてきた前兆や、
支援の調整ポイントが隠れていることもあります。

つまり、ふきのこにとって
「問題が起きなかった日」は、
何もなかった日ではありません。

むしろ、
その子をより深く知るための材料が静かに積み上がる日
でもあります。

「何もなかった」で終わると、一番大事なものを取りこぼしやすくなります

支援の現場では、
目立つ出来事ほど共有されやすいです。

たとえば、

  • 今日は他害があった
  • 飛び出しがあった
  • 活動途中で崩れた
  • 強い拒否があった

こうしたことは、記録にも残りやすく、
会議にも上がりやすく、
保護者にも伝わりやすいです。

一方で、
大きな問題が起きなかった日は、
どうしても
「穏やかでした」
「落ち着いていました」
「大きな問題なく過ごせました」
で終わりやすくなります。

でも実際には、
その日の中にもかなり多くの情報があります。

  • どこで少し表情が変わったか
  • 何があると入りやすかったか
  • どの支援は軽く通ったか
  • どこで少し無理が見えたか
  • どの場面は意外と保てたか

こうしたものを拾わずにいると、
「問題が起きなかった日」がただ流れていきます。

その結果、
支援は問題対応中心のままで、
うまくいく条件を言葉にできないままになります。

ふきのこが見ているのは「何も起きなかった」ではなく「何があると起きにくかったか」です

ふきのこでは、
大きな崩れがなかった日ほど、
「今日は平和だった」で終えません。

それよりも、

  • どんな環境だと保ちやすかったのか
  • どの声かけ量なら重くなりにくかったのか
  • どの距離感がちょうどよかったのか
  • どの活動の組み方が入りやすかったのか
  • どのタイミングで切り替えるとスムーズだったのか

を見ます。

つまり、
問題が起きなかったこと自体を評価するのではなく、
問題が起きにくかった条件
を拾いにいきます。

ここが見えると、
支援はただの運の良い一日ではなく、
次にもつながる一日になります。

なぜ「問題が起きなかった日」を細かく見るのか

1. うまくいった条件を見つけるためです

子どもが比較的穏やかに過ごせた日には、
たいてい何か理由があります。

たまたまではなく、

  • 人が少なかった
  • 活動の順番が分かりやすかった
  • 終わりが見えやすかった
  • 支援者の関わりが軽かった
  • 身体的に楽だった

といった条件が重なっていることがあります。

でも、そこを見ないと、
「今日はよかった」で終わります。

ふきのこでは、
うまくいかなかった理由だけでなく、
うまくいった条件も支援の材料
として扱います。

2. 小さな無理や違和感を見逃さないためです

問題が起きなかった日でも、
本当に全く負荷がなかったとは限りません。

たとえば、

  • 少し表情が固い時間があった
  • 急に静かになる場面があった
  • 終盤だけ反応が薄くなった
  • 帰り際に少し不安定さが見えた

こうしたことは、
大きな問題にはならなくても、
次につながる前兆かもしれません。

だから、ふきのこでは
「何も起きなかったから見なくていい」
とは考えません。

むしろ、
目立つ問題がない日の中にある
小さなズレを大事にします。

3. 支援者の勘ではなく、再現できる支援にするためです

問題が起きなかった日について、
何となく
「今日はよかったですね」
で終わると、
次に同じことを再現しにくくなります。

でも、

  • 活動前の待ち方がよかった
  • 支援者の位置がよかった
  • 先に身体を動かしたのが効いた
  • 切り替え前の一呼吸が効いた

まで見えていれば、
次も意図して組みやすくなります。

つまり、
問題が起きなかった日を細かく見ることは、
支援を感覚ではなく
再現できる形に近づけること
でもあります。

4. 保護者への共有が“無難な安心”で終わらなくなるからです

保護者に
「今日は問題なく過ごせました」
と伝えるのは悪くありません。

でも、それだけでは
何がよかったのかが見えません。

一方で、

  • 今日はこの流れだと入りやすかったです
  • 終わりが見えた時に表情がやわらぎました
  • この活動では自分から手が伸びました
  • 帰り際に少し疲れが見えたのでまた見ていきます

まで伝わると、
保護者は
その日の意味を受け取りやすくなります。

ふきのこでは、
問題が起きなかった日も、
子ども理解が深まるように共有したいと考えています。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、“問題が起きた日”に注意が集まりやすいです

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、
どうしても目立つ出来事に注意が集まります。

これは当然です。
安全管理もありますし、
保護者へ伝える必要もありますし、
現場として優先順位が高いからです。

でも、その構造の中では、
問題が起きなかった日は軽く流れやすい。

すると、
支援は
「何か起きたら考える」
が中心になりやすくなります。

ふきのこでは、
そこに少し逆らいます。

何も起きなかった日の中にも、
次の支援を良くする材料があると考えるからです。

支援全体の土台になる考え方は、
こちらの記事でも詳しく整理しています。
強度行動障害の支援方法|爆発前・爆発中・回復期の具体対応と判断設計

問題が起きなかった日は、「支援がハマった日」かもしれません

ふきのこでは、
大きな問題がなかった日を、
単なる平穏な日とは見ません。

むしろ、
その子にとって
何かがちょうどよく噛み合った日かもしれない
と考えます。

その
「何が噛み合ったのか」
を見つけることができると、
支援は少しずつその子に合う方向へ育っていきます。

逆に、
そこを見ないと、
良かった日も悪かった日も、
ただ通り過ぎていくだけになります。

つまり、
問題が起きなかった日は、
支援者の観察が最も問われる日でもあります。

ふきのこの支援観では、「平和だった日」も見立てを深める日です

ふきのこの支援観シリーズでは、
問題が起きた日の分析だけでなく、
問題が起きなかった日の読み方も大切にしています。

なぜなら、
支援は問題対応だけでできているわけではないからです。

その子が少し楽だった日、
少し通りやすかった日、
少し安心できたかもしれない日。

そうした日の条件を拾えると、
支援は「止めること」だけではなく、
「保ちやすい条件を作ること」へ進んでいきます。

支援観シリーズ一覧は、こちらから見られます。
ふきのこの支援観

ふきのこで大切にしていること

ふきのこでは、
問題が起きなかった日を、
何もなかった日として流しません。

そうではなく、

  • 何があると保ちやすかったのか
  • どこに小さな無理があったのか
  • どの支えがちょうどよかったのか
  • 次に再現したい条件は何か
  • 家庭とどうつながるか

を見ます。

大切なのは、
問題が起きた時だけ支援を考えることではなく、
問題が起きにくかった日の中から、その子に合う支えを見つけること
です。

ふきのこの支援や事業所の概要については、
こちらをご覧ください。
ふきのこについて

まとめ

ふきのこが「問題が起きなかった日」も細かく見るのは、
そこに、その子に合う支援条件や、次の支援につながる小さなサインが隠れていることが多いからです。

大切なのは、
何も起きなかったから終わりにすることではなく、
何があると起きにくかったのか、どこに無理がなかったのかを丁寧に拾うこと
です。

その視点があると、
支援は問題対応の積み重ねだけではなく、
その子が保ちやすい形を少しずつ育てていくものへ変わっていきます。

       強度行動障害の支援方法を体系的にまとめています

       ▶ 強度行動障害の支援方法【構造・前兆・実践まで解説】        

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